第4章 掌握
遅めの朝食をとりながら、テーブルに置いてあった今朝の朝刊を眺めていた。
私の七武海参入の報道はまだされていない。
船内の食堂は混雑はしていないが、居合わせた海兵たちは皆ちらちらとこちらの様子を伺っている。
昨日の一件で警戒されているのかもしれないし、単に珍しいもの見たさかもしれない。
特に居心地の悪さを感じていないのは、この船が私の支配下にあるからだ。
たとえ対等な立場であっても、力関係は違う。
いつでも船を沈められると言ったのは、牽制ではない。
おそらく、海兵たちもそれを感じとっている。
そうした事情を孕みながらも、目の前には海軍の日常の光景が広がっていた。
朝の一仕事を終えた海兵たちは、一服や雑談をしたり、各々の時間を過ごしている。
今日は上司の機嫌が特に悪いらしく、今もぐったりした様子の二人組が愚痴を零しながら食堂へやってきた。
「ほんとスモーカーさんの機嫌最悪だよな…急にこんなことになって忙しいのはわかるけど…」
「俺も朝から怒鳴り散らされてばっかだよ…」
あいつらも酷くどやされたらしいな、かわいそうに、と周囲の者たちは同情していた。
「忙しくなるとたまにあるんですよ。xxxxさんも、今日はスモやんに近づかない方がいいですよ」
近くの親しみやすそうな海兵に話しかけられたので、お前たちも大変だな、と笑顔で返すと、頬を赤らめて嬉しそうな顔をしていた。
もちろん、不機嫌な理由は仕事だけじゃないことを、私だけが知っている。
部下たちには悪いことをしてしまった。
スモーカーの心中を察していると、突然入口の扉が勢いよく開いた。
「あっいた!xxxxさん!ちょっとこちらへ…!」
たしぎは扉を開けたまま、手招きをしている。
私への敵意は、まだ消していないような顔だ。
私は飲んでいたコーヒーのマグを持って、たしぎの元へ向かった。