第3章 交渉※
ふと意識を戻すと、鎖骨を甘噛みされてからそれ以上何もされなくなったことに気が付いた。
様子を伺うと、スモーカーは胸元にもたれかかり、静かに寝息を立てていた。
このまま相手をしてやっても良かったのだが、おそらく相当疲れがたまっていたのだろう。
スモーカーの背中越しに、山積みになった書類に目をやった。
デスクワークも多い海軍の仕事は、見るだけでストレスがたまりそうだ。
今日のことは、私の退屈凌ぎ程度にしか思わないだろう。
覚えていれば、の話だが。
スモーカーをソファに横たえさせると、近くの椅子にかかっていた毛布をかけてやった。
肌蹴た胸元のボタンを付け直し、おやすみ、と静かに声をかける。
煙とアルコールが混じった甘い匂いの部屋を閉じ込めるように、そっと扉を閉めた。