第11章 誘眠
未だに、頂上戦争の夢を見る。
今日も、また同じ場面で目が覚めた。
ベッドから起き上がると、頬を冷や汗が伝い、呼吸が乱れていた。
鼓動が落ち着くのを待ちながら、目をやった窓の外は星が瞬いていて、深夜であることが伺えた。
海軍本部へ来てから、満足に眠れたことがなかった。
誰一人味方がいない状況で、常に気を張っていることも原因の一つだろう。
ローの船にいたときは、ここまでではなかったように思う。
無意識のうちに安堵できていたのは、ルフィを助けてくれたという事実があったためだろうか。
悪夢に魘された夜は、何をしても眠れなかった。
私は簡単な着替えを済ませ、外へ出た。
*
「…こんな時間に何してやがる」
私は建物内にある広間のバルコニーから、ぼんやりと星を眺めていた。
声の方へ振り返ると、書類を抱えたスモーカーが立っていた。
スモーカーと顔を合わせるのは、先日お昼に誘われて以来だ。
「別に何も…ただ、眠れなくてな」
特に捻りもせず、素直に理由を答えたことに、少し意外だと思う自分がいた。
「そういうお前は、よっぽど仕事が好きなようだが」
誤魔化すようにくすりと笑ってみせると、スモーカーはばつが悪そうに目を逸らす。
これから自室へ戻るところだ、と夜風に葉巻をふかせながら大きく息をついた。
「眠れねェなら、少し付き合え」