第10章 正体
「業務時間に美女とランチデート?スモーカー君。それにしてはこわい顔してるわよ」
重苦しい空気を跳ね除けるような通った声。
見上げた先には、スーツ姿が似合う美しい海兵、黒檻のヒナが立っていた。
「そんなに怒って口説いてもあなたじゃ相手にされないんだから、諦めなさい」
「…何言ってやがる」
「この間飲みながら愚痴ってたじゃない、あの女がどうのこうのって」
「おい」
「言ったでしょ、xxxxは世界的な舞台女優よ?野犬みたいな男に相応しくないわ」
「てめェ言わせておけば…」
スモーカーは立ち上がりヒナを睨んだ。
彼女はというと、キリっとした表情のまま私に視線を移す。
「あなたも大変ね。でもね、スモーカー君こう見えて優しいの」
「あぁ、知っている」
「そう、よかったわねスモーカー君。少しだけ脈がありそうよ」
少し顔を赤くしたスモーカーは目線を外し、何しに来やがった…と唸った。
「出撃命令よ、デートの続きは戦場でお願い」
こうして、雲行きが怪しくなりつつあったランチデートとやらは、ヒナのおかげですっぱりお開きになった。
*
己の正体を知れば、より強くなれる、次こそは仲間を守れると思った。
祖父がかつて見たと言う資料室へ、記憶を頼りに辿り着く。
論文の文末、考察はこう締めくくられていた。
『類推され得る龍騎士の戦闘力は、古代兵器と言っても過言ではない』