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許色【ONE PIECE】

第10章 正体


『魚人や巨人族といった人種のように、かつて存在した人間以外の種、龍族。
進化系統樹は遺伝子解析をしなければ分からないが、古代の壁画や云い伝えでは龍から派生したものとされている。
戦闘以外では歌を好み、特徴的な声域が生み出す振動により様々な現象を齎した。
特出した戦闘力を持つ精鋭は龍騎士と呼ばれ、その好戦的な性格が故に龍族は内乱により滅びを迎えることとなる。
龍族と人の混血種は僅かに生き延びてきたが、特異形質のせいか優性遺伝しなかったと推測する。
交雑を重ねその血は極限まで薄まり、現代は龍族としての形質発現個体は確認されていない。
永い時を経て人々は龍族のことを忘れ、今日では寓話の類としてのみその存在が云い伝えられている』


何らかの経緯で、祖父もこの論文を見たのだろう。
そして、その身体能力や丈夫さから、私が龍騎士の血を色濃く引いてしまったことに気づいた祖父は、幼い私に剣技を叩き込み、海軍に入れようとしていた。
希少種とは諸刃の剣で、あらゆる悪意に狙われる一方、上手く立ち回ればこの海で有利に生きていけるからだ。


「まぁそんな祖父も私が幼いころに亡くなって、結局私は病死した母に代わり舞台に立つことを選んだわけだ」

スモーカーには資料室を漁ったことに触れず、これらを掻い摘んで簡単に説明した。
次いで、黙って聞いていたスモーカーが口を開いた。

「今からでも遅くねェ、海軍に入れ。俺が口利きしてやる」

事実、今回の件で正式に海軍へ勧誘される可能性も考えてはいたが、海賊を毛嫌いするスモーカーに打診されるとは想定外だ。

「驚いた、お前に勧誘されるとはな。私の身を案じてくれるのか?」
「…そうだ」

からかったつもりが、またもや予想外の返事をされる。

「海軍に所属すれば安全か?敵が増えるだけの気もするけどな」
「少なくともお前に手を出す下衆な連中からは距離をとれるはずだ」
「ドフラミンゴとか、か?ふふ、どうだろうな」

あの男の名を出すと、スモーカーは明らかに不機嫌な顔をしたが、私は構わず祖父の話を続けた。
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