第8章 予感
ひらりと瞳に映ったのは、あの日と同じ色の羽根。
落ちると思った私の身体は、ふわりと掬われる。
「いけねェなァこんなにイイ女に怪我させるなんてよ…フッフッフッ!!」
ドフラミンゴは片腕で私を抱え、正門の高い場所へ降り立った。
驚くより先に、どの口が言うかと反論したかったが、痛みで咽る一方だった。
「…早々に色目でも使われたのか、ドフラミンゴ」
「フフフッ!俺は始めからこいつに惚れ込んでるぜ!」
「邪魔をするなら手加減はせぬ」
赤犬はマグマ化してドフラミンゴの糸から抜け出すと、間合いを詰め再び拳を振り下ろした、その時、今度は空を切る斬撃がひとつ、赤犬と私たちの間を隔てるようにして走った。
「赤犬、貴様の行為は七武海との規約違反だ」
斬撃が来た方、対面の高い位置に、黒剣を携えた金色の目の男が座っていた。
「鷹の目まで女狐に唆されるとは、嘆かわしいことじゃのう」
「海軍が七武海に手をかけたということは、我々も同様の扱いを受けるかもしれないと言うことだ。黙ってはおれん」
「その通りだ、サカズキ。私情で規約違反をするなど、言語道断…!」
能力で大仏になりかけた姿をして、センゴクは赤犬の背後をとっていた。
騒ぎを聞きつけて早急に戻ったのだろう。
「大御所が勢揃いだなァ…フフフッ!」
ドフラミンゴが私の頭をわしわし撫でながら、愉快そうに言った。
この状況ならおそらくもう大丈夫だろうと安堵した私は、危険な男の腕の中にいることも忘れて、意識を手放した。