第6章 愉悦※
「この痕を付けたのは、スモーカーか?それとも…」
ローか?
と耳元で低く囁かれる。
一瞬、鼓動が跳ね上がった。
これは、つい先日スモーカーを酔わせて付けられた痕。
そんなこと私には分わかりきっている。
なのになぜ、ローという名前に反射したのだろう。
ローの船を降りた日のことを、行くなと言われた言葉を、後ろから抱きしめられた感覚を思い出すのだろう。
「お前には…関係ない」
「フフフッ!そう煽るな」
再びドフラミンゴの口元に笑みが戻る。
「だが、確かに関係ねェなぁ」
そう言うと私を傍らのベッドに押し倒し、胸部を片手で押さえつけ覆いかぶさる。
能力から解放されはしたが、組み敷かれた状態で圧倒的な体格差をどうすることもできない。
必死に抵抗しようにも、両腕は糸のようなもので縛り上げられる感覚がした。
ドフラミンゴは満足そうな顔をすると、先ほど尋ねた痕の上に、重ねるように噛みついていく。
嫉妬や所有欲からではない、ただ自分のものに印を付ける行為に思えた。
小さな痛みに顔を少し歪めたのを見逃さなかったドフラミンゴは、すっかり力が抜けた私の腰に腕を回し、顔を近づける。
「お前の顔を歪めることができるのは、どんな快楽よりも興奮するよなァ」
「……ッ」
触れている身体が熱を帯びている。
ドフラミンゴの情炎がゆらゆらと昂っているのが分かった。
「今お前が誰のもんであっても関係ねェ、xxxx。力づくで俺のものにするまでだ」
自分で付けたばかりの痕を優しく撫でながら、低く唸るようにして言うと、ドフラミンゴは強引に私を抱いた。