第6章 愉悦※
「ここは私の部屋だ」
牽制すると同時に、どうやら声は出せるらしいことを確認する。
私は平静を装っていたが、今回ばかりは相手が悪い。
「フッフッフ…!つれねェなぁxxxx…お前を待ってたのによ…!」
腰を掛けていても尚高いところから見下ろす男は、とても愉快そうな口調だ。
「思った通り冷静で強かだ…ここに俺がいることを知っていたようになぁ…フフフッ!」
「お前と無駄話する気はない。要件を話せ」
面倒なことになったと思いながら、抑揚のない声で返す。
冷てェなぁ!と笑いながら、ドフラミンゴは窓枠からひらりと降りた。
じりじりと距離を詰め、棒立ちする私の身体に腕を回し指先でするりと頬を撫でる。
ふわりと上品な香水の匂いがした。
「頂上戦争で見かけた時はおっかなかったが、こうして大人しくしてりゃガラス細工の人形みてェだなぁ」
ドフラミンゴは私の顎を上に向けさせ、顔を覗き込む。
私はサングラスの奥のぎらぎらと昂る瞳を睨み返した。
「私に、何の用だ」
「聞かなくても、わかってんじゃねェか?」
嫌な予感しかしない。
不本意ながら、今の私にはこの男に対抗できる力は無い。
強さの底も見えていない状態で、全力を出せない私に勝ち目はないだろう。
「遊びに来たんだ」
そう言って顎を掴んだまま私の唇を簡単に塞ぐと、舌を捻じ込んで呼吸を奪った。
唇を離される頃には苦しさで咽せ返り、目には生理的な涙が浮かんだ。
「その顔、たまんねェな…フフフッ!」
「…ぅ…ッ!」
味わうようにしばらく貪った後、ドフラミンゴは私のシャツのボタンを一つずつ丁寧に外しながら、順にキスを落としていく。
そこで何かに気が付いたように顔を上げた。
愉快そうにしていた表情が、ほんの少し曇っている。