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許色【ONE PIECE】

第5章 無力


「人材不足の最中クザンを失ったのは痛手だ。龍騎士を七武海へ推すのも苦労した」
やはり、元帥の就任については二分し、現海軍内部の統率はうまくとれていないようだ。

「貴様が海軍にいたら、苦労せず済んだんだがな」
「その機を逸したのはお前たちの自業自得だろう」
スモーカーはどこまで本心か分からないといった顔をしているが、それは私もセンゴクも同じであろう。

余談だが、かつて、龍騎士の存在を秘密裏に調べ上げたある海軍中将は、成果を独り占めしようと独断で私の劇場船に攻め入り、私を攫おうとした。
その場に居合わせたルフィたちに救われた私は、結果として麦わらの一味となったのだ。

「細かいことはいい。今日から七武海として従事せよ。正確には戦力補強のための8人目…だがな」
「あぁ」

私は踵を返すと、センゴクに背を向けて言った。

「赤犬が見当たらないが、説得はできたのか?」
「……」

退官とは無力なものだな、と言うと、スモーカーと共に部屋を出た。


*


「海賊ってのはつくづく無礼な生き物だな」
「海軍も変わらぬだろう」

私は本部建物内に一室を与えられ、スモーカーから鍵を受け取った。
滞在も外出も自由、内部施設も好きに使って良いらしい。
スモーカーは説教する気もないようで、呆れた顔をしながら事務的な説明を続けた。

「近々任務を与えられるだろう。それまでは好きに過ごせ」
「へぇ、じゃあお前の部屋に遊びに行ってもいいか?」
「……!」

二度と来るなとスモーカーは顔を赤くしながら去って行った。


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