第3章 *「怖い先輩」の段*
百合とトモミは朝の空手稽古を終え、それぞれ部屋に戻ることに。
「百合先輩、朝早くからありがとうございました!」
百合に深々とお辞儀をするトモミ。
ちなみに今朝の稽古はトモミから誘ったのだ。
「私も、朝の稽古は好きだから苦ではないわ。
また稽古をしたいときはいつでも声をかけなさい。」
「はいっ!それじゃまた!」
今度は軽く会釈をし、走って長屋へ戻って行った。
百合はトモミを見送ると、自身も長屋に戻った。
ちなみに下級生と上級生で長屋は少し離れている。
部屋に戻ると、アカネは鉄のダンベルを両手に持ちトレーニングをしていた。
「あ、おかえり百合!
もしばらくしたら食堂行こ!」
「えぇ……てか、鍛錬をするなら外でやりなさいよ……。」
「なーんか今日は部屋でやりたい気分なんだもん!」
ちなみにアカネが持っているダンベルはそれぞれ30Kg、トータルで60Kgである。
アカネは小柄でありながら忍たまと互角で戦える実践能力があるが、教科はいまひとつ。
そのため後輩などからは力で敵を捩じ伏せることから「力のくノ一」の称されている。
一方の百合は技や術で敵を欺くことから「技のくノ一」と称されており、
実践となれば学園一の最強コンビとして知られている。
「……ほどほどにしなさいよ?
今夜は、イソタケ城への潜入捜査があるんだから……」
「うーんっ!」
アカネはダンベルを持ち上げながら返事をする。
「……あーあ、もっと重いものを持ち上げたいな……」
「っ!?」
(どんだけ鍛錬バカなのよ……)
どうやらアカネは今現在の鍛錬に満足いっていないようだ……。
ちなみに百合は20Kgを持ち上げるのが精一杯。