第3章 *「怖い先輩」の段*
それから15分後、着替えと髪も結い終えトモミと待ち合わせをしている庭園へ向かう。
そこには既にトモミが来ており、空手の稽古をしていた。
「トモミ、」
「っあ!百合先輩!
おはようございます!」
トモミは百合に気づくなり、元気に挨拶。
「おはよう。随分早いわね。」
「だって百合先輩とお稽古なんですもん!
これくらい当然です!」
「関心ね。」
「ありがとうございますっ!」
憧れである百合に褒められ、目を大きく輝かせるトモミ。
「さぁ、稽古の続きをしましょう。」
「はいっ!」
こうして百合とトモミは朝早くから空手のお稽古を始めた。
ちなみに今日は藁人形を相手に技を組み込むものだった。
練習からしばらくが経ち……
「そういえば百合先輩、」
「何?」
トモミは稽古をしながら百合に話しかける。
「今日は、放課後に学級委員長会議があるんでしたっけ?」
「えぇ、そう聞いているわ。場所は第三会議室よ。」
第三会議室は忍たま校舎の中にあり、主に学級委員長委員会が活動をしている場でもある。
イベント行事などが行われる際は学級委員長委員会を中心に話が進められる。
「ふふっ……差し入れとして、
激辛唐辛子を入れた和菓子を持って行こうかしら♪」
トモミは小さな声でボソッと呟いた。百合に聞こえないように……
しかし、百合には筒抜けであった。
「ほどほどにしなさいよ?」
「ぅ……(汗)
はぁい……」
百合に釘を刺されるのトモミなのだった。
だが百合はこう見えてトモミ達と同じくらいの時は
アカネと一緒になり同期である現在の忍たま六年生達にいたずらを仕掛けていた。
そのことは後輩にも秘密である。
「……。」
(でも、楽しみね……♪)←
だが、今現在でも内心楽しんでいる百合のようだった。
「……(汗)」
(百合先輩……心なしか黒い笑顔が見えたような……)←
軽く口角を上げる百合を見て思うトモミだった。