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水宝玉と雪華【ONE PIECE】【裏】

第7章 美しき花よ


に一つ仕事を教えようと、来たのは温室だった。
湖の底に、球を模した強化ガラス張りの植物園を作ったのは計画を立ててすぐ。
「わぁー!綺麗ー!」
「触ったりにおいをかいだりするのはすんなよ」
「どうして?」
「資金源用に育ててる危ない植物ばっかりだ。
毒もある、薬もある…」
「……こんなに、綺麗なのに」
外では鰐が優雅に泳ぐ。
程よい湿度と温度、ほの暗さはそういった植物を育てるのにうってつけだった。
あとは少しずつばら蒔けば、あっという間に金になる。
「ここに来るのは大抵俺だけだ。
だが人手が足りねえ。これからはもっと忙しくなる。
湿度と温度の調整と水やり、今日からお前の仕事だ」
「はい」
「漸くお役目御免だ」
両手を離し、ヒラヒラと動かし、自由になったのを見せつけた。

「社長…、社長は、なんで私を助けたんですか?」
温度計を見ながら呟くようには言う。
「助けた覚えはねえ」
「…出来損ないなんです、私」
「物覚えも悪い、身体も小さくて弱ぇ、確かに、出来損ないだな」
「そうなんです、何も出来なくて……」
皮肉で言ったつもりでいたが、否定するでもなく、むしろ受け入れる。
「皆、羽があるのに私だけなくて……、勉強もついていけないし、何も身に付かなくて…。
だから、落とされたんです。
そのまま、海に呑まれて消えてしまうはずだったんですけど……」
なんとなく、童話との繋がりを感じた。
一人になった魔女が、砂漠で過ごす。
よくわからないが、雪との繋がりも、あるのでなかろうか。
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