第6章 におい
上から落ちてくる僅かな体重が、ナカを抉っていく。
勝手に震える腰と、覆い被さるように横たわる身体。
そこらにいる女のがよっぽど良くシてくれる。
それなのに、コイツに固執しているのは何故か。
知りもしない執着と、生ぬるい傷の舐め合いのような交わりが、濃厚な美酒のようにクセになる。
「うぅ…っ!!」
ナカのザラついた肉壁が奥へ誘おうと蠢く。
体格差のせいで、残念ながら本人は苦しみながらのようだが。
身体を支えてやり、よく知っているイイ所へ誘導してやると、驚いたような顔をしてから蕩けていく。
「ふぁあっ!あっ!ん、いやぁああ!!」
首につけた浅い傷が艶かしく想える。
なんの迷いもなく、その真新しい傷に口付ける。
「やぁあっ!!あっ!!いた、んん、うっ…!!」
ガツガツと打ち付けてから、今度は更に奥の口に押し付ける。
「んきゃぁあっ!!!!」
ぎゅ、と痙攣するかのように締まる。
まるで種子を全て搾り取ろうとするかのように。
果てたばかりの身体を皮張りに押し倒し、イヤリングの裏側に舌を這わす。
普段の芳しいにおいではなく、キツい香水のにおいが漂い、反射的に身体を離した。
「クセぇ」
「……え?や、やだ、ごめんなさい…!」
「そういうんじゃねえ、香水だ」
女物のキツい香り。
作り物のにおいが気に食わない。
「ぁ、ナノハナで、作ってもらったのです…。
お気に召さなかったですか…?」
申し訳なさそうにが見上げてくる。
「ああ、召さねえな。次は付けるな」
「……ごめんなさい…」
今にも泣きそうな顔で目を反らされる。
無性に、それが気に食わない。
顔を見られたくないならそうしてやるまでだ、身体をうつ伏せにしてやり、尻を持ち上げ、続きを欲するように楔を打ち続けた。
「あっ!ん、うぅ、ひっく…っ!あうっ!あっ…」
喘ぎながらも、たまに混じる嗚咽。
何が悪い。
何が悲しい。
奴隷のくせに感情を与えすぎた。
黙って抱かれていればいいのに。
言い知れぬ動揺に、我ながら驚く。