第3章 天使か魔女か
「は、はぁ…」
「ヘタクソ」
「ん、ごめんなさい…」
粘着質な音をたたせながら、懸命に舌に食らいついてくる小さな口が、まどろっこしく思う。
大口を開かせ、噛みつくようにすると、肩が怯えるように震えた。
「なんだ、まだ怖えのか?」
「違います…」
うっとりとした顔を見ればすぐにわかる。
壊れそうな柔い肌にゴツい手をさしのべる。
対比があまりにも顕著で、支配欲がじわりと煽られた。
自身の教育の賜物だろう、少し前まではろくに何も出来なかった。
緩やかに、甘い刺激を、少しずつ教え込む。
まだまだヘタクソだが、腰がむず痒くなるのは覚えてくれたようだ。
後はなし崩し。
じっくり眠るまで、真珠肌を舐め、触り、翻弄し、制止を聞こえないふりし、弄ぶ。
何も付けていないソコに舌を這わせれば、たちまち逝ってしまう。
細い内腿にまで垂れた花蜜をすすり、時折粒を噛む。
甲高い悲鳴が聞こえ、ヘナヘナと倒れる。
デスクの書類が音を立てて落ちていく。
「ごめ、なさ……」
「気にするな」
らしくもなく、ふ、と笑みが漏れる。
調子が狂うが、それも悪くはない。
所詮ただのガキの小間使い。
だから、別に大事にしてやるつもりもない。
なのに、貫くことすらまだしていないのは何故か。
いつものように、使って、捨ててやるつもりですらいたはずだ。