第3章 天使か魔女か
「それで?あのこはどうしたの?」
「ああ…」
ビジネスパートナー、というだけのクセに珍しく気になったようだ、会ってすぐの台詞はそれだった。
「おかえりなさいませ!」
飛び付いてキスをせがむ。
上手く調教は出来ているようだ。
「ん……」
甘ったるい声を出すと、すぐに一緒にいた女の気配が気になったようだ。
「あ…、お客様ですか?
失礼しました…、です」
丁寧な挨拶をするが、残念ながらただの従業員だ。
「コイツぁ違うぞ」
「はじめまして、ちゃん」
「すぐに行商人が来る、手厚くもてなしてやれ」
ジャマ者を追い出し、さっきの続きを促すと、仕事机に乗り、身長差を埋めてくる。
「行儀悪ぃ…」
「だって、誰も見ていませんから…」
は最初とは偉く違い、明るく、穏やかな性格だった。
反面、べったりと甘えることがあるが、これは、上手くいっているという証拠だろう。
小動物に懐かれるような、そんなこそばゆい感覚がたまに襲う。