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【DC】別れても好きな人【降谷(安室)※長編裏夢】

第92章 それが例え間違いでも


「赤井さん、メールどういうこと!?」

リビングの戸を開けて、そこにいたのは。

「……○○さん」
「コナンくん?」

なんで、あの小学生がここに。

「赤井さん、どういうこと」
「……沖矢さん?」

赤井、と明らかに私の隣に立つ人を見て訊ねるコナンくんの語尾は、どこか責めるような。
ふっ、と笑った沖矢さんが喉元に手を当て

「本当の君が嫌がることを止めただけだ」

声が、変わった。

「怯えなくていい」

……ぽん、と頭に置かれた手に変わらない安心感に肩の力が抜ける。

「○○さん、……一応確認だけど、記憶は戻ってないんだよね」
「え、ええ」
「……安室さんのことも、覚えてないの?」

沖矢さんのことではなく、安室さんのことを?

「ボウヤ」

制するかのような声に、少年は小さく息を吐く。

「こんなの、○○さんじゃない」

悔しそうに。
苦しむように。
小さな拳を握りしめて、震えていて。

「ボウヤの言うことは分かる。だが、こうでもしないと彼女は安室くんの言う通り遠くに行くことになるぞ」
「私は」

私の意志だった。

「私の意志で、それを望んだんです」
「違うな」
 
強い否定の言葉に、感じていた居心地の良さなど微塵も感じさせなくて。

「君は、逃げたんだ」

痛い。
痛い。

「悩むことから」

冷たい声が、

「選ぶことから」

胸を抉る。

「向き合うことから」

二人の視線が、

「周りの人間から」

酷く、真っ直ぐに

「俺の告白から」

突き刺さる。

「降谷零という人間から」




ドクン、と。




大きく心臓が、跳ねた。




「ふるや、れい」

その名前を、私は知っている。
その名前を、私は。

私は。


私が


「れい」


ガツンッ、と強く頭を殴られたかのように内側から痛みと共に、視界が歪んで、



視界が暗くなった。




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