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【DC】別れても好きな人【降谷(安室)※長編裏夢】

第88章 「「愛してる」」


透さんの車に乗り込んで、シートベルトを締める。

「○○の行きたい場所の前に、本庁に寄っても良いか?」
「確認するって珍しいね。何かあるの?」
「ああ、もうすぐサミットが開催されるだろう?」
「うん。東京湾の新施設、エッジ・オブ・オーシャンだよね。東京サミット当日にオープンするから、公安総出で警備点検を行うって。結城さんから私も来るようにって言われてる」

己の立場が己でわからなくなるときがある。
……それくらい、自分勝手な行動をしているわけで。
久しぶりに公安として指示がきた。

「零も行くんだよね」
「ああ」

頑張ろうな、とかけてくる言葉がなんだかくすぐったい。
〝降谷さん〟に頑張ろうって言われるのは、うん。嬉しい。

「なにニヤニヤしてるんだ」
「ふふっ、だって、頑張ろうって言われるの嬉しくて」
「……真面目にしろ」

そう言った零はとてもぶっきらぼうだったから、照れているのだと分かって笑ってしまう。

「零。あのね、行きたいって言ってた場所なんだけど、やっぱりまた今度にしよ?」

悩んだ末。
時間が欲しかった。
赤井さんとのことがある今、それだけは、残していてはいけないと思って。
迷いがある。
……だから、今じゃない。
私が、ちゃんと赤井さんに向き合ってから。……向き合って、零に恥ずかしくない自分になれるときに、もう一度。

「? どうしてだ? 本庁に寄るのは、
確認だけだからすぐに終わるぞ」
「うん。だからね、サミットも終わってからのほうが零を独り占めできるでしょ」
「……それ、言ってて恥ずかしくないのか?」
「ぜーんぜん」

独り占めできる。その言葉に嘘はなかった。
そして私自身を、零だけのものに。
そうじゃないと、……零から向けられる笑顔に私は心から喜べない。

「わかった。……代わりに、ドライブはするからな」

僕だってデート楽しみにしてたんだ、と拗ねた口調で零が言うから声をあげて笑ってしまった。
愛されている。
愛している。
一緒に暮らすようになってから、以前よりももっと感じるようになった。


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