【DC】別れても好きな人【降谷(安室)※長編裏夢】
第88章 「「愛してる」」
ポアロには何組かのお客さんと、それから、コナンくんに蘭さん、園子さんがいらしていた。
「えぇっ!? そっくりさんだった!?」
「マジで!?」
「じゃあやっぱり梓さんは昨夜のホールにいってないんですね?」
昨日のベルモットさんのことだろう。
コナンくんだけだったら確認することもなかっただろうけど、蘭さんはそれを確かめずにはいられなかったということかな……仕方ないか。
「え、ええ…。そんなに似てました?」
「ええ、僕もホールの入り口で呼び止められて……すっかりだまされました…。一体、誰だったんでしょうかねぇ?」
「怪盗キッドなんじゃない? わたしのハートを盗みに♡」
怪盗キッド。
……会ったことないな。
ベルモットさんの変装も高度だけど、怪盗キッドの変装はそれ以上なのだろうか。……そしたら絶対見抜けないな。
「まさかぁ」
「でもその人、何が目的だったんだろ……?」
「ちょっと不気味…」
コナンくんと透さんが目を合わせて、……なんだか会話しているみたいで悔しい。
でも、何か混ざれば昨夜の沖矢さんと二人にきりになったことを零にバレてしまうのも、困る。
……これから行きたいところがあるのに、零に誓いたいことがあるのに、幸せと同時に、ずっと迷っている。
赤井さんからいただいた腕時計を今日つけてしまったのは、……零に似合うと言われたからなんて言うのも、言い訳。
「○○、お待たせしました」
いつの間にか、エプロンを外してすでに支度を終えた透さんが後ろに立っていた。
会計も済ませましたから、と続けられた言葉に目を見張った。
「透さん、モテるでしょ」
「そうですね。……貴女だけに、モテますね」
その返しは、ずるい。
「もーっ! 二人してイチャイチャしてないで早くデートに行ってください! 安室さんから今日は残るの難しいって朝一で言われたので珍しいなって思ってたんですよ」
「「すみません」」
「いいから! ほら! 楽しんできてくださいね!」
梓さんに背中を押されて、私たちはポアロをあとにした。
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