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【DC】別れても好きな人【降谷(安室)※長編裏夢】

第87章 裏切りの感情


「そんなわけないよ。だって、梓さんだったじゃない?」
「でもっ…!」
「どうして、そう思ったの?」

 聞かずにはいられなかった。
 聞きたかった。
 知りたかった。
 ──透さんとベルモットさんが、なぜ協力関係にあるのか。
 この子が、関わっている気がして。

「それは、前に哀ちゃんと」
「蘭姉ちゃん! ○○姉ちゃん! 昴さんが帰り送ってくれるって!」

 コナンくんが私たちに声をかける。
 それは、そう。
 ──話を遮ったのは、意図的だろう。
 蘭を巻き込むな、そう強く言われた気がして。

「ほんと? 透さん、梓さんと先に出ちゃったから困ってたの」
「あらー? 浮気―?」
「もう、園子!」
「あははっ、違いますよ。なんだかお店のお話もあったみたいで、先に帰るって話を私からしたんです」

 残念でした、と笑って言い返せば、園子さんも蘭さんも笑って。
 ──巻き込んではいけない人がいる。
 ──巻き込みたくない人がいる。
 この人たちの笑顔は、無くしたくない。

「ごめんね、コナンくん。話に夢中になっちゃって」
「いいよ!」

 にっこり返された少年の笑顔の裏にある本心は、きっと鋭いものなのだろう。
 
「それでは皆さん、狭いですが車に乗ってください」

 組み合わせでこうなるのは分かっていたのに。
 後部座席に蘭さん、コナンくん、園子さん、と三人が座って。
 …助手席には私。
 一人で帰るのが絶対的に正しい判断だったと気づきながら、園子さんを送って、探偵事務所の前で蘭さんとコナンくんを降ろして──ここで良いとシートベルトを外そうとする手は、後ろにいる二人の視界から隠すように重なって遮られて。
 少し落ち着く場所で話そう、なんて言われて。……いつものごとく、工藤邸にお邪魔しているわけで。
 だから、いま。
 ……また、二人きりになってしまったわけなんだけど。

「彼にあそこで会ったのは、驚いたな」
「……ええ。私も聞いてなかったので」
「君も、彼には言ってなかったようだったからな」
「まあ……、そうですね」

 話していたら、きっと教えてくれた。
 来てはいけないと言われそうだけど……それでも、赤井さんに伝えることはできたんだ。
 自分のことばかりで、避けられるはずだった危険に後悔をする。



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