【DC】別れても好きな人【降谷(安室)※長編裏夢】
第87章 裏切りの感情
説明をバトンタッチするかのように、沖矢さんが饒舌になる。
「実際には滑車ではなく、ロープの輪ですから摩擦の影響で8倍とはいきませんが…、軽くて滑りのいいロープを使えば園子さんでも高木刑事を吊り上げられる…。なお、これは『輸送結び』といい、運送業者が積み荷を固定する時に使うロープの結び方」
そう、そんな結び方を知っていて、疑わしい人物はただ一人。
「つまり波土さんを吊り上げた犯人として一番疑わしいのは…若い頃運送業者でバイトをしていたという…波土さんのマネージャーの円城佳苗さん…あなただという事になりますが」
沖矢さんが円城さんを見て、まさか、と周囲の視線が彼女へと集まる。
「し、しかし吊り上げたはいいが、どうやってロープを客席に結んだんだね?」
「それは簡単ですよ! 吊り上げた後のロープの先を近くの客席に縛って一旦固定し、上から来ているロープのこの変に針金をねじ込み、その針金で上から来ているロープを固定してしまえば…あとは、余分なロープをほど客席に結び直して針金を抜くだけ」
浮いた状態の高木刑事と、それを吊り上げるロープを見ながら説明を続けて。
「その『輸送結び』のいい所はどこにも結び目を作らないのでほどきやすい点なんですが…真新しいロープならそれをやった跡がロープに残ってしまう…だからロープを客席に結び直した後、余ったロープを工具箱に入っていたカッターナイフで切り…そのロープを束ねて…ステージのソデに工具箱と一緒に置いたんですよね? 円城さん?」
向けられた疑惑に、彼女は顔色を青白くさせて。
「おいおい、いくら彼女が昔そういうバイトをやってたからって…それだけで彼女を犯人と決めつけるのは…」
「足の大きさだよ!」
そう告げたのはコナンくんで。
「あ、足!?」
「運送業者の人ってロープを…こうやって腕にクルクル巻いて…束ねるけど…これの内側って大体束ねた人の足の大きさぐらいなんだ! ヒジから手首までの長さがその人の足の大きさだから! 現場にあったロープも蘭姉ちゃんの足の大きさぐらいで束ねられたからさ…。だから小柄なマネージャーさんが束ねたロープなんじゃないかなーって思ったんだ!」
布施さんは、彼女が殺すわけがないとでも言うように、否定を重ねる。
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