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【DC】別れても好きな人【降谷(安室)※長編裏夢】

第87章 裏切りの感情



 犯人が使ったトリックが分かったと目暮警部たちに伝えて、それをやってみましょうといったのは透さんだった。
 会場に入り、ステージ上。
スポットライトが付いたバーにロープを渡し、そのロープの片方をイスに座った高木刑事の体に結び付けた。
これで高木刑事の体が浮くと説明をするときの透さんがなんだか得意げなのは見逃さないけれど。
説明をするために目暮警部からロープを受け取った透さんが、私たちに見やすいように掲げながらそのロープを結ぶ。

「ステージの上で上から垂れているロープを、こういう風に輪を作りながら持ち…下の輪を上の輪に手前からくぐらせるように2回巻き付け…下側の輪にねじりながらその輪の中に…輪より下に垂れているロープの途中の部分にこうして通して…、できたおおきな輪の先を2メートルぐらい下の客席のテスリにひっかけます」

 輸送結びと言われる結び方。
 運送業者が積み荷を固定する時に使うロープの結び方。

「こんな具合に。…次に輪ではないほうのロープのテスリを内側にひっかけるように通して…再びさっきと同じ輪を作り、ロープの途中を通して…。できた大きな輪とロープを…今度は4メートルぐらい離れた席のテスリに…ひっかけて…もう一度同じ輪を作ってロープの途中を通し…できた大きな輪だけを持って…今度は8メートルぐらい離れた席の…テスリにひっかければ…あとは3番目に作った小さな輪の所へ戻り…余ったロープを引くだけ」
 
 では、と透さんが指名したのはこの中で一番非力そうだという理由から園子さんを。

「じゃあ一番非力そうな園子さん…引いてくれますか?」
「わ。わたし!?」

 持ち上がるはずがない、と恐る恐る透さんからロープを受け取った園子さんが、透さんに言われる通りにそのロープを引いた。

「い、いいけど…どーせわたしじゃ持ち上がらな…」

ふわっ、と高木刑事の体が浮く。

「わわわっ!?」
「ウソ…、なんで!?」
「……滑車の原理」

 思わず口にしたそれに、透さんは「正解」と私ににこやかにいうからこんな場面でも頬が緩む。

「ですよね? 沖矢さん」
「ええ。…ロープの途中に作った小さな輪が滑車の役目を果たし…1つの輪ごとに2倍、4倍、8倍の力でロープを引くことができるんです」


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