【DC】別れても好きな人【降谷(安室)※長編裏夢】
第10章 確かめられない想い
「毛利先輩が、少年探偵団が博士の車で警視庁のパンフレットの撮影をしに行くって話してたから、来るのは知ってたけど…でも奇遇だね。会えるとは思ってなかった」
少年探偵団、顔を合わせたことがある程度だけど、みんなのことは知っていた。
吉田歩美・円谷光彦・小嶋元太
…そして、この場にいない、灰原哀。
「丁度僕も警視庁に来るように言われてね…○○とも、ここで会ったんだよ」
透さんは、コナンくんに私たちの関係を伝えるつもりなのか、と察した。
「なんで呼ばれたの?」
「透さんは先日の一件がやりすぎだったんじゃないかって。私は最後に立会いしたのが書類とか少し」
「まぁ、僕がここに来たのは別の用もあったのもあるけど…」
別の用、それは初めて聞いた。
透さんの顔を見上げれば行きますか、と声をかけられて。
「別の用って?」
「あ…気にしないでくれ…」
もう用は無くなったから、そばにいた私にはそれがはっきりと聞こえた。
私の手を引っ張る透さんに引かれるように歩き、振り返るようにコナンくんたちに手を振った。
「ランチ、僕の料理と外食どちらが良いですか」
「透さんがいい!」
即答する私に目を見張って笑う透さん。
「○○の家、向かいますか」
「ポアロじゃないの?」
「ポアロのシフトはお休みなので」
家に、と言われて見られたくない消されたくないものはないかを考えた。…そんな考えをよぎらせたことに、悲しくなった。
「どうしました?もしかして都合悪いです?」
「部屋、散らかってなかったかなぁって考えてた!…行こう」
それでも私は、透さんの傍に居られることを望むんだ。
…願うのは零の気持ちが、抱き合ったあの瞬間の気持ちが嘘ではありませんようにと。
手を繋ぎスーパーに立ち寄りマンションまで向かった。
お昼はオムライスとグラタンにしようと言い出したのは私。
お子様ランチですねなんて笑われるのが幸せに感じて。
部屋に入り、後ろ手で鍵を閉めれば透さんの首に腕を回し抱きついていた。
唇を交わして透さんの手が腰に回る。夢中に舌を絡ませて…透さんの手を、胸に誘う。
「…透さん不足」
「だから…そんなに時間ありませんって」
それならいつならいい?
この気持ちを零で満たして埋めて欲しいのに。
「お昼、作りますね」
零の背を見ていると胸が痛くなる。
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