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【DC】別れても好きな人【降谷(安室)※長編裏夢】

第85章 I kiss you


 行かない理由を考えた。
 二人きりなんて、また、関係を持ってしまうかもしれないから。
 これについては正直己を信じられない。
 ……流されやすいだけじゃない。
 気づいてはいけない気持ち。
 でも、間違いなく、その気持ち以上に零を想っているからと蓋をすることができていた。
 ……できていたよね? なんて、己の気持ちに再確認したくなるくらいにはあの人に会いたくなかった。
 観覧車の一件から、直接赤井さんには会っていない。
 久しぶりの呼び出しは、片付けの手伝いなんて何を考えているか全く分からない。

「あ、○○姉ちゃん!」

 探偵事務所で毛利先輩は自宅で少し昼寝してくる、からはや4時間。
沖矢さんからのメールを眺めて深いため息をついていた私に、小学校から帰ってきたのだろうコナンくんがわざとらしい子供の声を出したことから、私は顔を歪めた。

「沖矢さんから連絡あった?」
「……ありましたけど」
「○○姉ちゃんも行くよね?」

 目を潤ませてこちらを見てくる(見た目だけ)小学生を前にすれば少しだけ気持ちが揺れてしまうのは私の悪いところで。

「悪いけど、もう個人的に会うつもりはないから」
「まあ、二人は『言えない』関係だもんね」
「げほっ、げほんっ……! コナンくん!」

 キスをしていたことは、聞かれていたのは知ってるけど。
 ……ああ、だめだ。赤井さんがこの子に余計なことを言うとは思えないけど、この子が気づいていないわけもなかった。
 あの時、キスをするのだって見られてる。


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