【DC】別れても好きな人【降谷(安室)※長編裏夢】
第83章 大切な友人(そんざい)
「最近、終わったらポアロに入り浸っているって?」
安室君が終わるまで、と聞かれて私が毛利先輩に向けた反応は苦笑いだった。
一緒に住むことになったけれど、実際に家にいる時間は短い。
公安の仕事をゆっくりとだけれど、させてもらえるようになった。
本庁に行く回数は前と比較し明らかに減ったけど、風見さんからの指示・そして、結城さんや清水さんの外部からのサポート役として、零以外の指示も受けるようになった。
ベルモットさんとも、電話で話すことがあって。…もちろん、零が聞いていたけれど。
無事でよかったわ、そう言った彼女が根っからの悪人だと思えないのはなんでかは私にも分からないけれど。
「彼と、住むようになったんだろう?」
毛利先輩から畳みかける質問に、思わず咽た。
私が言っていないことを知っているのは、零が教えたからだろうとは思うけれど。
「よかったな」
零が私を抱かなくなったことを、相談したことも確かにあった。…余計な心配をかけていたと思えば気恥ずかしくなりながら、先輩に笑い返しお礼を告げる。
「でも、あまり広めないでくださいね。…恥ずかしいので」
「喧嘩してもうちに来るんじゃねーぞ」
「あはは、助けてくださいよ、おとーさん」
却下だ、と言い返されて笑い合う。
不思議と不満は、なかった。
零の本心は分からないけれど…体を重ねる回数は少しだけ減ったのは忙しいからと…一緒に住むことで、少しだけ落ち着いたから。
降谷さんの、透さんの、バーボンの、私が知らない一面を隠さない零に、私もなるべく傍にいたかった。
忘れたわけじゃない。
でも、確かに存在は薄れていた私の中の頼ってしまう存在のこと。
それを思い出させることになったのは…
とある事件のせいだった。
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