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【DC】別れても好きな人【降谷(安室)※長編裏夢】

第9章 初めての依頼人


警察の事情聴取は安室さんとコナンくん、毛利先輩が立ち会って。蘭さんと私は事務所の隅でじっとその様子を眺めていた。
被害者女性はずっと震えるように泣いていた。


被害者の名前は樫塚圭。
彼女の持っていたロッカーの鍵がどこの鍵なのかを脅し、スタンガンで彼女を気絶させ、ガムテープで拘束していた。
挙句に逃げられないと悟った犯人は…拳銃自殺をし、彼女はそれを目の前で見ていたのだという。
脅されていた、と泣きじゃくる被害者を観察するかのようにコナンくんはジッと見ていて…
しかし分からんなぁ、と事件のたびにお世話になっている目暮警部が被害者の遺体のあるところから樫塚さんのそばに立つ。

「す、すごく焦っていたみたいです…早くそのコインロッカーを見つけないとやばいとか言ってましたから…」
「しかしねぇ樫塚さん…あなたは本当にあの男に見覚えはないのかね?」

せめてもの手がかりを求めるように、目暮警部は樫塚さんに尋ねる。

「あの男の目当てがあなたの兄の遺品である鍵だったのなら、兄の知り合いの可能性が高いんだが…」
「兄の友人にはあまり会った事がないので」
「ちなみにお兄さんはなんで亡くなったんですか?」

安室さんの問いかけに、彼女は反応がなく。…それほど遠くもない距離なのに、聞こえないものだろうか。なんて、らしくもなく疑問を抱いては頭から消す。

「お兄さんの死因は?」
「あ、はい…4日前に事故で。これが兄ですけど…」
「待ち受けにしてるんですね」

その写真を覗き、最近どこかで見た気がした。
…どこだっけ。
つい最近だ。

「警部殿、今夜はこれ位にしていいんじゃないっスか?兄を亡くされて見知らぬ男に目の前で自殺されたんですから…」
「ウム…では明日、改めて事情聴取しますので…住所と連絡先教えて頂けるかな?」
「は、はい…何かに書きますね」

ボールペンと用紙をすっと後ろから差し出せばありがとうとお礼を言われて目を合わせた。
その目があまりにも自暴自棄に見えて。

「できれば身分を証明する物があれば…」
「大学を出たばかりの就職浪人なので名刺は…家に帰れば保険証がありますけど…」
「じゃあ明日、持って来てください…」
「わかりました」

思い出した。
あの写真の男。






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