【DC】別れても好きな人【降谷(安室)※長編裏夢】
第80章 怖さ※裏
気分転換に部屋を思い切り掃除した。
掃除機掛けだけじゃなくて、雑巾掛けをして。
近くのスーパーで、食材を買い込んだ。
夜に零が来る。
…お疲れ様と、おかえりを伝えたい。
夕方前から時間をかけて作った料理は、何かのお祝いかってくらい沢山作りすぎた。
「…やりすぎた」
食べきれるだろうか。
食べきれない分は冷凍したり…明日に回すか。
ご飯も炊けた頃に、玄関から鍵が開く音がした。
小走りに玄関に向かえば、零がいて。
「ただいま」
「おかえりなさいっ!」
「わ…っ、……なんだ?寂しかったのか?」
帰ってきた零に勢いよく抱きついた。
受け止めながらも驚いた様子で。
「寂しかった」
「…そうか」
「ご飯沢山作りすぎちゃったんだよね」
零が少しだけ顔色が暗かった。
だから、わたしが明るくいたかった。
「それでですね」
「ん?」
「ご飯にする?お風呂にする?…それとも」
私?っていうテンプレートを零の耳元で囁いて。
「お前って言ったら、このままベッドでいいのか?」
「……質問返しは良くないです」
「顔真っ赤」
「うるさいっ!」
思わず声を上げた。
恥ずかしい。
言うんじゃなかった、と思いながら見上げた零の顔が笑っていたから……言ってよかった、に切り替わる。
「お腹すいた、良い匂いがするから先にご飯にしたい」
「わかった!」
抱きつく私の腰に手を回して零から、キスをする。
…嬉しい。
零が私のことを考えてくれるのは、やっぱりすごく嬉しい。
噛み合わない意見があっても、こうして零が…私の家にただいまって来てくれる。
…お互いがいる場所が帰るところ。
だから、私は…やっぱり捨てられない。
「零…好き」
「俺も」
唇が離れて小さく笑い合う。
恥ずかしくて笑ってしまう。
もう一度目があって唇を重ねて笑い合う。
幸せって、こういうことなんだろうなって思った。
「…作りすぎたな」
「作りすぎました」
リビングのテーブルに広がる料理に、零は呆れ半分感心半分の口調で料理をみる。
「料理、上手くなったなとは思ってたけど…また腕上げた?」
「ほんと!?」
味見、とつまみ食いする零に怒るより先にその感想に喜びが先に立つ。
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