【DC】別れても好きな人【降谷(安室)※長編裏夢】
第79章 俺のために
検査も問題なく。
恥ずかしながら零との、寸止めの行為にそれ以上体は熱くならなかったことを零経由で報告した。
お世話になりました、とその日零が病院へ迎えに来て家まで帰った。
私の家。
零の家に行きたかった。
「部屋の盗聴器についてはもう調べ終わってるから安心しろ」
「…零は、来てくれないの?」
「仕事があるから…このあとポアロに」
「終わったら?」
「今日はごめん」
「………遅くても良いから、来てくれませんか?」
「無理…悪い、…ゆっくりできるときに…シような?」
「………行ってらっしゃい」
零は優しい。
優しいのに、一度置いた距離から戻って来てくれない。
久しぶりに部屋に帰ってきた。
埃っぽさもなければベッドもふかふかだった。
念のため盗聴器がないか調べて…問題ないと分かればベッドに寝転んだ。
少しだけ触れても、あんな意地悪なことを言っても、…抱いてくれない。
……東都水族館の一件から約1ヶ月。
周りは変わっていて。
寂しさで、潰れてしまいそうだ。
我儘な感情が嫌になる。
1ヶ月。
病院関係者と零にしか会ってない。
だからだろうか。
寂しい。
「…先輩に会いたい」
なんでもない日に帰ってきたと実感できる瞬間。
先輩との二人の時間。眠そうな先輩に…起きてくださいって笑って。
私には先輩との時間の方が向いている。
公安部の雰囲気は好きだ…だけど、足を引っ張る私をあそこに置く理由はない。
先輩だけじゃない。
コナンくんや蘭さんや…梓さん、探偵団の子たち…
赤井さんにだってお礼言ってない。零を煽るようなことを言ったことへの文句も…
考えてみれば零のことばかりだった毎日には当たり前だけど他の人がいて、…これまでもずっと、同じようなことをして接していたわけで。
零のいない人生なんて空っぽで。
ただ
ただ、
零と再会して人との距離を近づければ…こんな風に、他にも好きな存在に気づく。
心が重たい。
きっとこれは、零に抱かれたら消えるものだけど。
それまではつきまとっていそうだなと…
零に確認して、明日でも先輩に会いに行こう。
なんて言い訳したのか分からないから…
『明日、毛利先輩のところに行ってきて良いですか』
とメールを送ってとじる。
返信がきて、零のポアロの休憩時間と合わせるならという言葉はついていたけれど、了承をもらって眠りについた。
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