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【DC】別れても好きな人【降谷(安室)※長編裏夢】

第78章 中和剤


お互いが傍にいることで、今はお互いをだめにする。
それが分かってしまって。

プライドもなにもない。
トイレ以外、拘束具を付けることにしてトイレのときだけは人を呼ぶという形に収まった。
もちろん、その時に欲情していたら外すことはないからとオムツをつけられて。
屈辱でしかなかったけれど。
零に迷惑をこれ以上かけるというほうが、嫌だった。



中和剤は確かに効いていた。
2時間に1本だったのが4時間、6時間、1日3回へとなり。
数日かけて1日2回にまで落ち着いた。

試しに自慰行為をして確かめてみるかどうかという話をしながら、何かあったときにそれを誰かに見られるのは嫌で…透さんが面会に来るときに、という話を担当医とするのはすごく…違和感だった。
それくらい、私の体は変な状態になっていたんだなと思って。
病室からでることは基本NGとされていたため拘束具を外されてからは少しストレッチを一日の中に加えてみた。
…しばらくして担当医にバレて怒られた。
ストレッチのレベルじゃない、と。
そう言われてもなあと思いながら担当医と話したストレッチメニューを行って。

「お疲れ様です」
「…透さんっ!」

ケーキもってきました、と零が笑って言うのは…病院から私の状況の連絡が入ったのだろう。

「新しい薬、効いてるって聞きました」
「うん、調子良いし変なことなってない…その、透さんとのこと考えても…何にもなってないよ」
「…考えたんですね」

クスクス笑われて簡易テーブルに置かれたケーキ。

「美味しそう!ショコラケーキ」
「ポアロで出そうと思っている試作品です」
「透さんのケーキ、また増えるんだ?」
「料理は楽しいですからね」

考えごとも少しだけ整理できます、と透さんの口調で話すから…キスをした。
ショコラの味。

「したかった」
「……それは、薬のせいですかね」
「私が、したかった」
「…ここに来る前に担当医とも話しました。検査上も見た限りでは問題ないが、実際は…試してみないとわからないと」
「うん」

ショコラケーキは美味しくて、ぺろっと平らげればご馳走様と両手を合わせた。

「透さんと零、今私の前にいるのはどちらですか?」
「…馬鹿」

好きなほうで良い、と言われるから。

「優しくない…キスしてくれるほうがいい」
「…下手くそな誘い方」



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