【DC】別れても好きな人【降谷(安室)※長編裏夢】
第78章 中和剤
なんだろう。
喉が渇いて渇いて仕方がなくて、そこに水があって一滴だけ与えられてもっともっと欲しいもっともっと飲みたい。
そんな感覚に似てる気がする。
零が苦しそうな顔をして私を見てる。
…なんでそんな顔するの?
零には、笑っていてほしいのに。
「…○○、大丈夫か?」
頭が上手く回らない。
さっきまで感じていた訳の分からない体の熱さは引いていた。
「…中和剤、今日明日には試薬品が出来上がりそうだって」
「ん…」
「それまで安定剤で誤魔化していくしかないって…」
「……ん」
「効けば、すぐにでも落ち着くと思うから…」
ん、と相槌を打ちながらいまいち何を言われているのか頭に入ってこない。
でも、零が様子がおかしかったのは私の体がおかしいことと繋がるなって理解した。
「…れい」
「ん?」
「……また、えっちできなくなったね」
悲しむ顔が見たくなくて、軽口を叩けば小さく笑ってくれた。
「そうだな…、退院したら、沢山抱いてやるから」
「…ん、たのしみにしてる」
大好き。
零と手を繋いで眠りにつく。
安定剤、と言ってたな…ものすごく、頭がぼんやりする。
「れい」
「どうした?」
「…すき」
「ああ、俺も」
自分の体に何があったのか、聞きたいけれど今聞いても頭に入ってこない。
でも、安定剤を打たれたときに感じた針の感覚はやけに覚えてる。
私は何かを忘れてる。
それが零を傷つけてる。
思い出さないとと思うのに、それを思い出そうとすると体が急激に熱くなりそうで…零に抱かれることを望む。
それならまだいいんだ。
せめて自慰行為を求めれば何かが手を押さえつけてくるから…それが嫌で嫌で嫌で…
夢なのか現実なのか
どこからどこまでがそうなのか
もう何も分からなかった
零が部屋からいなくなって…少しずつ高まる体は、安定剤が切れてきたのか。
自然と蜜口に手が伸びて、くちゅっ、と音がして。
自分で自分の体を慰めていることに気づいたのは、それがまるで自分の指から与えられる快感じゃないと思うくらい、強かったから。
零がだめだって言っていた。
でも…でも、だめなんだ。
体の熱が収まらない。
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