【DC】別れても好きな人【降谷(安室)※長編裏夢】
第9章 初めての依頼人
6人席、毛利先輩の前に私が座りその隣にコナンくん、蘭さん。
毛利先輩の隣に安室さんが座って、依頼人からの連絡を待つ。
食事をしながら依頼内容を説明する先輩。
先日亡くなった兄の遺品から見つかったロッカーの鍵があり、それの先を見つけて欲しいという依頼だ。
シリアルナンバーなどで見つかる、という話に安室さんは初耳のような反応をしていたけど…零が知らないわけないのに。
しばらく待っても来ない依頼人。再度メールを確認すれば、これまで連絡をとっていなかったメールアドレスからの連絡で。
「まさか自分の携帯が充電中だったから友達の携帯借りて慌ててさっきのメール送ったんじゃない?」
蘭さんがもしかして、というふうに話をして。
「…そしてその友人は携帯の電源切ってしまったとか?」
「おいおい、OKの返信したのさっきのメールアドレスだぞ!?」
安室さんの言葉に先輩もそんなまさか、と少し焦った様子で。
「…だったらOKの返事が来てるのを知らずに待ってるかもね!最初の約束通り探偵事務所で」
コナンくんの落ち着いたような呆れたような話し方に、私は内心小さく笑ってしまった。
慌てる先輩たちをよそに、先に行っていてくださいと会計に向かった。
領収書を貰って足早に後を追いかけた。
……またロクでもないことに巻き込まれる、そんな予感が働いて小さく溜息をついた。
事務所に着いてもそこには誰もいなく。
「紅茶でも飲んで待ってる?」
「蘭さん、やりますよ」
「紅茶を淹れるなら僕も手伝いますよ」
安室さんとカップを用意して、違和感に手が止まる。
カップの底が、僅かに濡れていて。
安室さんの顔を見れば、気づいたのか、と言うように頷かれた。
「お!依頼人から返事きたぞ。たった今コロンボに来てくださいって…」
「だったら早く行かなきゃ」
「じゃあボクもついてくからちょっと待ってて!トイレ済ましちゃう」
コナンくんの言葉に続くように、メールが重ねて受信された。
「また依頼人からメール…『急いでみんなで来てくれ』って…」
みんな、ね。
違和感の正体はなんとなく分かった。
「とにかくコロンボに戻りましょうか」
「え?」
「俺だけでいいんじゃねーのか?」
「でもみんなだって言ってるから」
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