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【DC】別れても好きな人【降谷(安室)※長編裏夢】

第75章 水槽


ベルモットさんと誰かが話す声がする。
まだ、私は大丈夫。
そんな気がした。
ベルモットさんのことを、信用しているわけじゃない。
だけど……目を開いた先にいる銀髪の男よりは私は安心する。
すべては本能的なものでの判断でしかなかった。

頭が朦朧とするけれど、どうやら撃たれたのは自白剤や媚薬のようなものでも、命に害があるものではなく、睡眠薬だったのだと思う。
冷たい地面。横たわる体に後ろ手は何かに繋がれている。
指先や手に力が入るか確認したけれど、辛うじて動く程度。

「ジン、プリンセスが起きたわよ」

誰がプリンセスか。
誰のプリンセスか。
そんなこと考えたくもなかったけれど、ベルモットさんは私がバーボンに特別視されていることを知っている。

「バーボンの女か」
「ペット…または玩具、とですかね。女になった記憶はありませんが」
「よく喋るな」

拷問、と言っていただろうか。
あまり痛いのも傷がつくのも嫌だなと。せっかく先日の傷がほぼ完治して今日は零と抱き合える予定だったのに。
ジン、と呼ばれる男は…赤井さんといたときに遠目からみた気がした。
そしてその名前も知っている。
組織の幹部の一部。

「バーボン…は、このことを?」
「知らないな」
「そうですか……私、殺されますか?」
「お前次第だ」

情報を吐けば殺さずにいてやるよ、と。
…嘘つき。

「情報もなにも、私はバーボンの性処理としてそばに置いてもらえてるだけです」
「それにしては、いつだって彼に依存してるわよね」
「…そりゃ、彼のテクが最高なので」
「警察の犬か」
「……元、です。過去の話ですよ」

殺さる、と思った。
こんなことなら零に怪我気にせず抱きあえばよかったと考える。
…まぁ、体重ねなくても幸せだったからそこまで後悔はない。ただ彼と赤井さんの誤解が解けてないなとか、いつか来る彼の私以外の恋人の存在とかを想像してしまったら…
死ねないな、と思える辺り単純だと思う。
指先が動くようになって、感覚が戻った。
なにか針金とかがあれば外せるかチャレンジするんだけどな。

「バーボンからも、それで利用できると思って近づかれましたけど……生憎、私は人付き合いが良いものではないので連絡とって情報を与えてくれるような人はいません。それが分かってから、彼の捌け口になっているだけです」


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