【DC】別れても好きな人【降谷(安室)※長編裏夢】
第74章 療養期間
毎日。零の腕枕で眠れて。
…いや、帰りが遅い日も、必ず起こしてくれて。
毎日零と一緒にいれて。本庁まで送ってくれて。
先輩には、…観覧車事故に巻き込まれて怪我をしたと透さんから言ったらしい。
また一週間が経って。その日は、組織の方の仕事が入って。
零は病院についていけないことを謝ってきた。
行ってらっしゃいと見送って、…病院に向かう。
診断結果は案の定というか予定通りというか。
何の問題もなくて。帰り道に、新しい下着を買った。
家に着いて、料理をして晩御飯の支度ができればお風呂に入る。
新しい下着と、少しだけ香水をつけて。
ヤる気満々みたいだって?
今日だけは…ヤる気満々だから、仕方ないのだと開き直って見せようと思う。
「遅いなぁ」
組織の方での仕事は、何時になるかなんて何してるのかなんていつも以上に教えてくれない。…帰って来ない可能性。
コンコン、と音がして…チャイムでもなくノック。
繰り返し鳴る玄関。
嫌な予感がした。
覗き穴から覗いても、真っ暗で何かに塞がれてる。
隠れるべきか出るべきか。悩んでるうちに…ドアノブが回った。
私は平和ボケしてたんだと思う。
扉が開いて目の前にいたのは、長い銀髪に真っ暗な服装の人。
真っ暗な銃口を向けて…
「ジン」
待って、と聞き覚えのある声。
「……ベルモットさん」
「久しぶりね。バーボンの家にお泊まり?」
「ええ、…まぁ。ご主人様に、ご奉仕するために」
「知り合いか」
「まぁね。バーボンの…そうね、お気に入り」
何しに来たの。降谷零の事がバレた?
「何かとバーボンが嗅ぎ回っていたのが気になったの。少しお邪魔するわね」
お邪魔、と言うのだろうか。ズカズカと入ってきた男。
「ベルモット、こいつも連れて帰って拷問に回せ」
「……why?」
「バーボンの女だ。何かと情報を知ってるかもしれないからな」
「バーボンが怒るわよ」
「知ったことか」
そういうことなの、とベルモットさんが笑う。
今精一杯頭を回転させて…零に関わるものがないか、そればかり考えていて。
「また、綺麗になったわね。……次に生きて会えたら、その体を組織のために使わないかしら?」
「へぇ。…体、ねェ」
「良い体よ。複数相手にしても壊れなかったもの」
楽しみだなと言ったその声の最後は…
首元へ撃たれた注射によって、何も聞こえなくなった。
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