• テキストサイズ

【DC】別れても好きな人【降谷(安室)※長編裏夢】

第73章 同じ気持ち※裏


目が覚めると、真っ白な天井と、白いカーテンで仕切られていた。
体を起こそうと全身に鈍い痛み。
…腕を上げれば、ガレキにもあちこちぶつかったせいで、包帯とガーゼだらけの腕。
だいたい体全体同じだろうと溜息を吐く。

「…あー…」

声は、普通に出る。
何日ぶりに出したのかってくらい掠れた声だけど。
誰か呼んだほうが良いのだろうか。
…携帯とか私の私物はどこにあるのだろう。

「そもそも…今何日で今何時…」

外が暗いということは夜。
廊下の外からも音が聞こえないということは消灯時間が過ぎているということ。
それくらいしか、分からない。
流石に何日も寝てることはないだろうけど…

「……一人でうるさいやつだな」

カーテンが開いて、小さく笑う大好きな人。

「零…」
「馬鹿」

零が、覆いかぶさるように抱きしめてくる。
…怪我を気にしてるのか、力弱く抱きしめてくるから…

「…話したいことも聞きたいことも…ひとまず後にして、……お前が無事で良かった…」
「っ…こっちの台詞ですよ、馬鹿…っ」

貴方が変なことを言うから。
貴方が帰ってくるから待っててといえば…全て信じるのに。

「弱気な零は…っ…嫌い…」
「……じゃあ、もっと嫌われるな」

ギシッ、とベッドが軋んで…零がベッドに登る。
今だけだから、と零に包まれるように抱きしめられて。

「FBIに言われたんだが……俺から、離れたいか?」
「え?…っ、待って零…」

いつ、どこで、そんな話に?

「お前の気持ちを分かってないと言われて」
「……あー…確かに、貴方に捨てられたら拾ってやるとは言われましたけど……貴方に捨てられたら生きていけないって伝えてますよ」

零の頬に手を当てて、顔を向きあって額をくっつける。

「そもそも…貴方が何かあったら忘れろって…貴方を消せと言ったから、貴方に従うのをやめたんですから」

取り繕わないと、責めてしまいそうで。
零が弱ってるなら、今はそのタイミングじゃない。
だから、なるべく優しく…零が安心できるように。

「零を失わないことだけが、私が執着する全てだよ」
「……はぁっ…少しだけ、このままでいてくれ」

深い溜息のあと、抱きしめる力を強くすることもできずに額を合わせて顔が近い。

「……このままだと、結構拷問なんですけど」

キスはダメですか、なんて見れば小さく笑われた。



/ 687ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp