【DC】別れても好きな人【降谷(安室)※長編裏夢】
第71章 純黒の悪夢(前)
東都警察病院に、あの人はいた。
探偵団の子たちと一緒に。
水族館の名物は観覧車。
…そこで、何かあったと考えるのが今のところの可能性。
だけど
観覧車で何かが起こったなら、もう一度同じことをすれば何かが起こる。
それは公安もFBIも同じことを考えていて…つまり組織はその観覧車で、キュラソーを警察から奪還しようと考えるのではないだろか。
「…すみません、これが精一杯です」
肩の力が一気に抜ける。考えるのは零が得意だから…
「君の情報量の中で、そこの可能性に気づいたのは期待通りだ」
「…それはどうも」
よかった、と少し安堵して。
「赤井さんは観覧車に向かうんですよね」
「あぁ、そうだ」
「…私も、行って良いですか」
「公安として、ではなく…俺の協力者としてという意味か?」
「両方です」
公安としても、あなたの協力者としても。
「…公安の目は、私がなんとかできますし」
「…では、そちらは任せるとしよう」
少しだけ指先が震えてた。
組織に対しての恐怖。
それを、初めて感じた。
私は今まで…命の危険を感じることはなかったから。
「大丈夫か」
「…大丈夫です」
水族館から少し離れた場所に車が停まり、震える指先に、赤井さんの手が重なる。
…ときめいたら、ダメなのに。
胸が高鳴るのが分かる。
目があって頬に触れられる。
赤井さんの首に腕を伸ばして、唇を重ねた。
震えが取れるのがわかった。
「落ち着いたか」
「ありがとうございます…」
ぎゅ、とその温もりに抱きつけば深呼吸をした。
「…行けるな」
頭に置かれる手が…大きくて。
気持ちが落ち着く。
「このままFBIの協力者として来るか」
それは、今だけじゃなくて
「彼が君を手放すなら、居場所を用意しよう。いや、君が彼を手放しても…必ず」
「っ…それは…」
「その時は、俺を好きになれ」
そんなこと、はっきりと…言わないで。
きっとこの人は、私が惹かれてることに気づいてる。
だから、私は言わないといけない。
「…ごめんなさい。零がいない世界なら、…生きていたくない」
「……相変わらず、興味深いな、君は」
セックスもキスも君からして来るようになったのにな、と。
「先日のはノーカウントです…っ!」
…肩の力が抜けていた。赤井さんに連いていくように観覧車の関係者口をみつけて、私たちは侵入した。
→