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【DC】別れても好きな人【降谷(安室)※長編裏夢】

第71章 純黒の悪夢(前)


抜けるような青空。
誰一人眠っていないこの緊張感には、正直頭に響くものがあった。
防犯カメラの映像を元に、侵入者の写真が私たちの前に映される。

組織の人間。
零の調べ上、そのコードネームはキュラソー。
組織の人間からも昨夜その女が行方不明になったと連絡が入っているという。
…ベルモットさんも、どうやらそれを探しに動いている。
昼過ぎに、やっと公安に入って来た情報で…何かと忙しく動いていた。

「○苗字○」
「はいっ…!」

昨夜の情報を集めて、まとめてる事務作業を行なっている時に突然急に声をかけられて、驚いた。

「探偵団の子たちと、仲良かったよな」
「…え?まぁ、普通に」
「どうやらその子供たちとキュラソーが一緒にいたらしい」
「今、どこに?」
「東都警察病院」
「でも、公安もそこに向かうんですよね?」
「あぁ。だからお前は…子供たちが余計な情報を得ていないか、確認してほしい」

それは、一般人の身を案じての降谷さんからの…

「降谷さんは?」
「もちろん僕も、そこに向かう」

キュラソーが何かを話す前に、公安の手に…
降谷さんは、私に一緒に向かうことを指示した。
車の中に、沈黙が走る。
私は、零が策を練って、失敗するなんてことを知らない。
…赤井さんは別だ。
あの人は…何かと、裏を知っている。
だから……こんなに、焦っている零を知らない私は、その沈黙の居心地の悪さに窓の外に目を向けた。

ノックリスト。
それは、私の知識では…どこか、この世にあるのかないのかすら危ういものだった。
でもそれは間違いなく存在していて、そして…現に盗まれた。
日本の、公安の…データベースから。
それは、組織に潜入しているスパイの一覧だけではない。
各国に散らばるスパイが組織によって公開されたら…世界中の諜報機関が崩壊する。
全ては、日本の公安の失態によって。

「…○○」

その名前で呼ばれる空気ではなかったから、少しだけ反応が遅れて…零の顔を見た。

「もしもの時は、降谷零のことは忘れろ」

そんな言葉…
聞きたくなかった。

「零…、私は…っ…」

言葉を紡ごうとした私の唇を、零が唇で塞いで…切なく笑う。

「その時は、お前の人生から俺を消せ」

そんなの…できるものなら…
零はそれ以上何も言わず、何もせず、車を走らせた。



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