【DC】別れても好きな人【降谷(安室)※長編裏夢】
第70章 侵入者
ノックリストを管理するサーバールームへ侵入者が現れた時の対応として。
そんなもしも、のような話が空気感で、もしもの話ではないことがわかる。
…この引き締まるような緊張感。
緩んでいた気持ちが引き締まる。
大丈夫。
この人たちなら、このメンバーなら…零なら絶対、大丈夫。
その日、本庁を囲むように待機した私たちに風見さんから無線が入った。
『侵入者が現れた』
上で何が起こってるのか、私にはわからない。
無線から入る音や指令にてその状況を判断し…
見上げた先に、ガラスを突き破って落ちてくる…女の、姿。
無線から入る零の声。
ビルから落ちた女の姿は、真下の植木に突っ込んだかと思うと、すぐさま飛び出し数メートル先のビルの配管パイプに手足をかけ回転しながら滑り落ちて行く。
…人間業じゃない。
その姿を追いかけるけれど、そんな人間業ではない相手に追いつくわけもなく。
その女は、一般人の車を奪って…アクセルを踏んで走っていく。
呆然と佇む私たちの隣を、白の車が…RX-7が、走っていった。
横目に見たその零の顔は、見たことがなかった。
…わずかに見えた赤い車は、おそらく赤井さんだろう。
大丈夫。
零がいて、赤井さんがいて…
あのすごい二人がいて、…逃げられるわけなんてない。
しばらく経って、無線に入るのは首都高での自動車事故と爆発。
そして、
取り逃がしたと……
無線から聞こえる声は、間違いなく降谷零の声だった。
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