【DC】別れても好きな人【降谷(安室)※長編裏夢】
第69章 油断※裏
「朝食、ご馳走になった」
「…いえ。沖矢さんに変装、されなくて大丈夫ですか?」
「どこかの誰かが、滅茶苦茶に剥がしたからな」
「……スミマセん」
きっと、人目を避けるのはこの人は得意で。…だから、言うほど心配もしていなかった。
「これまでの君を抱いた中で、昨夜が一番乱れてたな」
「…うるさいです」
「では…またな」
またな。
それは、また会おう、なのか、また抱き合う方なのか。
赤井さんがいなくなった部屋。
残るのは、反省と後悔。
…そして、体に残されたあの人の熱。
テクニシャン、というなら…まさにあの人のことなんだろう。
零とは、相性が良いに近い。
シーツを張り替えて、濡れたシーツは洗濯に回した。
二人分のお皿を洗って、二人分のタオルがあって。
…それは全て零が使ったものではない。
取り返しがつかないことをした自覚はある。
そして、処分しないといけないと思っていた盗聴器は…赤井さんが持って行ってくれたのか、部屋にはなかった。
探偵事務所では、今日は顔色が良いと言われ…公安の仕事では効率が上がったのも、すごく恥ずかしい。
情けない。
…零不足は解消されてないはずなのに。
だって死ぬほど気持ちよかった…のが、本当に困るんだ。
あんなの、…誰だって流される。
そんな言い訳を立てて、零の机にお弁当箱を置いた瞬間が…一番、罪悪感と後悔が強くなった。
盗聴器のことは、一時的ではあるが解決したことだし…それに、今は零に何か心配かけても良くないと判断して。
その件は、言わないことにした。
多分、零への心配する気持ちは確かにあったけど…それ以上に、何かを言い訳にすることによって罪悪感を軽減したかったんだと思う。
仕事を終えて部屋に戻ってテレビをつければ、来週オープンの東都水族館のリニューアルニュース。
普通の恋人で
普通のデート
そんなこと、私だってしたい。
零に会えない時間が長くなればなるほど…
赤井さんとの行為を、思い出してしまった。
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