【DC】別れても好きな人【降谷(安室)※長編裏夢】
第64章 初めて見る※裏
賭事は知識としてしかない。
…資料などでは見たことある賭博場の雰囲気に、飲み込まれそう。
『○苗字○、俺が会場内回るから裏側回れるか?』
「了解です」
頭(うさ耳)が、邪魔。
固定された耳に仕掛けたイヤホン。
私以外にも同じ格好をする人がたくさんいて、ドレス姿の女性や着物姿の女性。
男性役として他にも4人潜伏している。
任務前に顔合わせをしたくらいだけど、すれ違うと安心する。
人が多くなってきて、飲み物を運びながら歩く。
視界で無意識に零を探していた。
…すぐに見つけられるのは、その姿があまりにも綺麗だから。
片手にシャンパングラスを持ちながら、男の人と話す零の姿。……嫉妬の対象は、男女も任務中も関係なくて深呼吸をした。
『○苗字○、何かあったか?』
「…いえ、特には。そちらは?」
『餌は巻いた』
…ここの賭博場全部が違法であるのに。
今ここで取り押さえても意味がない。だから…待つんだ。
「君、あっちの方に回って」
「あ、はいっ」
バニー服の女性を囲んで笑ってる男の方を指されて…
「降谷さん、少し外します」
『…気をつけろ』
「貴方も」
…女好きが相手だったから、どうしても女役が必要だったんだなと今更気付く。
うーわ、と思わず声に出しそうだった。
絵に描いたような悪代官。
スタイルも顔立ちも良いバニー服を着た女性を4・5人囲ませて、胸や尻を触っている。
「お飲み物はいかがですか?」
「飲ませてくれるのかな」
何言ってんだクソジジイ、と荒い言葉を心の中で吐いてニッコリと笑う。
「どうぞ、お客様」
「君が飲ませてくれるかな」
2回目のその言葉は私に向けられたものじゃなくて…ここで、と胸を触らせたいた女性の谷間にシャンパンを零す。
汚い。
その行為をされると、女性はお金を手に握らされて喜ぶ。
……狂った世界だ。
『○苗字○、戻ってこれるか』
「…了解です、こっちは?」
『こちらから目を逸らさせる罠だ』
話の途中で手を引かれた。
持っていたトレイを落として、シャンパンが体にかかる。
「君も良い体だね」
「…っ…」
相変わらず変なものに巻き込まれるのが得意だな、と自分に思いながら…胸元の服を下された。
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