第64章 初めて見る※裏

「降谷さんは、その任務着いてなかったんですね」
「あぁ、今回赤井の方で動いてたからな。そこは部下に任せてた」
「……降谷さん、女装したこと過去にあるんですか？」

それは、とても興味があった。

「…………昔、一度な」

ヒロくんがいた頃。
恋人として捜査をする必要があったと。
………多分私はそれが一番見たかった。

「二度とやらないと言っていたんだけどな」
「まぁ、負傷されてたら仕方ないですし…私だけでも大丈夫ですけど」
「…更衣室やトイレ含めて、女性しか入らない場所を回るのには一人では怪しまれる」

更衣室やトイレ。

「……そんな目をするな」
「ヤらしい目向けたらその場で逮捕します」
「するわけないだろ、○○相手じゃあるまいし」

無自覚で返された言葉に、顔が赤くなる。

「……すぐ赤くなるな、可愛い」
「そんなの…降谷さんのせいですよ」

キスが甘くてこのまま抱かれたいとすら思う。
スーツを整えられて、目を逸らしたのは零が先。

「もしかしなくても、抱きたいって思ってくれました？」
「……生意気」

これくらい許してほしい。
零が首筋にキスをして、離れる。

「仕事の時間だ」

…狡いなぁ、と思う…
舌なめずりして見下ろす男に、胸が高鳴った。


風見さんと合流した先は、とある有料個室のメイクルーム。

「複数人入れるんですね、…しかも異性で」
「入れるわけありませんよ」

風見さんの冷たい声。

「風見、用意してきたか」
「あ、はい」

どうぞ、と渡されたトランクケース。
零がトランクケースを開けば、……ドレスと

「うさ耳…」
「バニーだな」
「え、これ零が着るの」
「「は？」」

降谷さんと風見さんが、声を揃えて。

「まだお話しされてないんですか」
「言ったら逃げるからな、こいつ」
「……いや、まさか」
「お前用だよ」

それなら零だって同じ服だって思ったのに…バニー服の下には深緑のドレス。

「○○、できるよな？」
「無理です」
「…風見、もういい。出て行け」

はっ、と素直に従う風見さんが憎い。
風見さんがいなくなれば、零は私の体を壁に押さえつけた。

「○○、着替える気は？」
「バニーが似合うのは二次元とスタイル良い人限定っ…！！」
「…うるさい」


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