• テキストサイズ

【DC】別れても好きな人【降谷(安室)※長編裏夢】

第60章 緋色の帰還


「○苗字○さん、君は待機命令も出てるから後ろに下がっていて」
「…でも」
「君が裏切った時、俺らの立場がないからさ」

そんな可能性0なんだけど、と付け加えながらも降谷さんの命令に従う二人に…心が締め付けられる。
その可能性は…0じゃないんだよ。
降谷さんが見張りとして選んだのがこの二人なのは…単純に他の任務でもついていたからだと思ったけど…
私が裏切りたくないと思う相手を選んだんだなってわかって…苦しくなった。

峠の向こうに銃を構える。
…ヒロくんにも、零にも、教えてもらった…大好きな二人。
私がここにいるのも、赤井さんを守りたいのも、大好きなその二人への気持ちだから。
もう一度、自分の中で心にキめる。
この人たちを裏切る決意。
その決意に深く息を吸っては吐いてを数度繰り返し…
私は…零と離れる覚悟を、決めた。

陽も落ちて、連絡が入る。
FBIの車が向かっていると。

その場に緊張が走って…
遠くから車の灯りがいくつか見えて…銃を構える。
車で行き先は塞いだ。
…でも、私なら…いや、零なら、車と車の僅かな隙間を狙う。
それが分かっていながら私は何も言わない。
もし、…その可能性に気づいて、その運転ができるなら。
逃げて。

向かってくる車が崖に向かってハンドルを切って…岩に右のタイヤが乗り上げ、右のタイヤが浮いたまま…肩輪走行で公安の車で作ったバリケードの隙間を抜けた。
振り返る先で両輪を着け…猛スピードで走っていく。
…正直、興奮した。
誰よりも早く車に乗り込み、エンジンをかける。
舌舐めずりをして…

「○苗字○さんっ!運転席から、降りて!」
「いいから乗って!」
「あー……清水!そのまま乗り込んで!」
「誰が責任取るんだよ…!」

乗ったのを確認して…シートベルトを締めるのを待たずに、アクセルを踏み込んだ。
…なんでだろう、そんなに運転は好きじゃない。
好きじゃないのに…

「なんでこいつ笑ってんだ…」

隣から聞こえる声が、なおさら興奮する。
前を走るFBIの車の動きがおかしい。
…先ほどの岩に乗り上げた時にタイヤ部分にダメージでも受けたのだろうか。
もう終わりか。
私は、前の車が逃げられるようにスピードを下げて…バリケードのように車を横にするイメージを立て…

もう一度、最後に…裏切る覚悟を決めた。



/ 687ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp