【DC】別れても好きな人【降谷(安室)※長編裏夢】
第57章 緋色の序章
透さんの助手として、澁谷さんの学校に向かいストーカーの調査をした。
透さんといる時間が増えるのは少し嬉しかったけど、ベルモットさんとも連絡をとる零の姿を…隣で見ないといけなかったのは少し辛かった。
生理痛を隠していたはずなのに、透さんには見透かされて無理矢理車の中で休ませてもらっては…車の中で仕事をして怒られた。
「…いつもより辛そうですね?」
「んー…ごめん」
謝ることではないと言われて、シートを倒される。
目を瞑ると頭を撫でられる。
「この後…」
「うん、仕事できるから大丈夫」
「…そばにいれなくてすみません」
「なんで?…零……透さんが、こうして一緒にいる理由くれるのすごく嬉しいから大丈夫」
頬に手が触れて嬉しくて…
温かくて大好きな零の手。
「……貧血気味ですよね…ご飯食べてますか?」
「食生活は零が改善してくれるらしいよ」
「…僕の家、泊まりますか?」
「ピークは乗り越えたから大丈夫だよ」
では眠ってくださいと言われて。
零の声に誘われるように目を瞑って…少しだけ意識を手放す。
しばらくして、起きてくださいと優しい声。
キスがないと起きれないとふざけたことを言えば、零は優しくキスをしてくれた。
「……本当にキスしてくれるって思わなかった」
「…その辛さだけは、代わってやることもできないからな」
「あー……もう……幸せ」
そんな優しいことを言われて嬉しくないわけがない。
シートを起こして、自分の両頬を両手で思い切り叩く。
「貴方がご褒美くれるから頑張る」
「そんなこと言ってませんが」
「くれないの?」
「………ほんと、狡いですね」
頬を撫でられて優しい笑顔で。
「お仕事、頑張ってくださいね」
「……透さんに言われたら、やるしかないね」
行ってきます、と車を降りて向かう。
後ろ髪を引かれる思いで振り向けば、…誰もいなくて少し切なかった。
デスクに着けばいつもより溜まってる資料に溜息。
頭を切り替えてデータ入力と報告書作成。
これが終われば零の声が聞ける。
それが私の背中を押す。
零の役に立てる。
零にとって、恥ずかしくない彼女として。
認められたい。
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