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【DC】別れても好きな人【降谷(安室)※長編裏夢】

第56章 素直じゃない


「まーた辛気臭い顔してんな」

笑ってたはずなのに。
いつも通りのはずなのに、先輩に言われてしまって。

「今日終わったら付き合え」

これ、とお酒を飲む仕草。
…終わってからは別の仕事がある、とは言えずに言葉を濁して…

「透さんと…約束、してまして」
「じゃあ安室くんも一緒に連れてこい」

どうせ悩みのタネはその男なんだろと言われて。
…余計なことを言ってしまったと後悔した。
確認しますね、と事務所を抜けて私から連絡することは数少ない安室透の携帯を鳴らす。

『はい、安室です』
「透さん、こんにちは」
『どうかされましたか?』

それは、零じゃなくて透さんの携帯を鳴らすのは珍しいという意味。

「…今夜、先輩と三人で飲みに行けませんか?」
『今夜…ですか、僕も○○に付き合って欲しいところがあったのですが』

タイミング悪いですね、と。

「私そっち行くよ?」

それが零としてなのか透さんとしてなのかが読み取れず、そう答えていた。

『いえ……僕の方、早められるか確認するので○○は遅くできますか?』
「…いいの?」
『その代わり、終わったらすぐに指定の場所に来てください』
「………でも」
『貴女が男と二人で飲むなんて…嫉妬するので』
「先輩だよ?」
『…そういうとこ、○○に直して欲しいところです』

何が?となりながら…電話が切れて。
いまいち腑に落ちない気持ちのまま、しばらくすると透さんから予定通りに、とメールが来て。

「先輩、…透さんと夕方少し予定があるので終わってからでも大丈夫ですか?」
「蘭に遅くなりすぎると怒られるからほどほどにな」
「蘭さんには私から言っておきますね」
「それなら遅くまで飲んでも大丈夫だな」

ガハハ、と笑う先輩から笑いがうつって…私も笑う。
先輩が楽しそうだと、嬉しい。
……家族。
娘だと、先輩が言ってくれて。
私はそれが…伝えたこともないけれど、前からずっと…とても嬉しかった。




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