【DC】別れても好きな人【降谷(安室)※長編裏夢】
第54章 あの日を思い出して※裏
「○苗字○さんっ!」
助かった、という声。
何が助かったのかと思いながら零を見上げると、何言ってんだというほど身に覚えがないようで。
「謹慎解けたんだ?」
謹慎。…謹慎?
隣を見上げると言ってなかった、と言う目で私を見てきて。
「…はい、ご迷惑おかけしました」
深く頭を下げる私に風見さんが目の前に立って。
「迷惑はかけない、と以前貴女から聞いた気がしますが?」
「仰る通りです」
「…抜けていた分、溜まってますからすぐに仕事に取り掛かってください。それから、しばらく探偵事務所行かれない日は早朝から来てください」
「安室の助手は、週末の夜だから大丈夫だ」
何が大丈夫なのか。
頑張れ、という視線を他の人たちから向けられて…深いため息をつく。
「○苗字○さん、溜息つく権利」
「はい、私にはありませんね!!失礼しました!!」
あーもう、…この空気…
嫌いじゃないと思ってる自分がいて、帰ってきたなって…降谷さんが楽しげに私を見下ろすから…
何も言えなくなった。
長時間パソコンに向き合って、22時も過ぎた頃。
「お邪魔、しても良い?」
「清水さん、結城さん、お疲れ様です」
終わったんですか?と訊ねれば帰るとこ、と答えられて。
「二人とも仲良しですよね」
「まさか。ただの腐れ縁」
「そうそう、仲良くしたいのは女の子…って○苗字○さんに言ったらセクハラか」
「大丈夫ですよ、私降谷さん以外の人、異性として認識してないんで」
「「まじか」」
「冗談に決まってるじゃないですか」
冗談に聞こえなかったと言われればそんなことはないと笑い返す。
「先日は大丈夫だった?」
先日、と言われて…
清水さんたちに連行された居酒屋で酔って散々話したことを思い出して…
「あ、あの日もごめんなさい、それだけじゃないけどその、色々…」
「いやいや、実際被害大きかったの風見さんだし。…無事帰れてたみたいでよかった。連絡先知らなかったから」
「そうそう、酔った女の子一人で帰らせるなんて〜ってその後反省会」
女の子、と言われる年齢じゃないんですが。
「二人と飲んでるの、楽しくてつい酔ったみたいで」
「どうやらまだ俺の知らない話があるようだな」
降谷さんが入口で立ち、冷たい声が、部屋に響く。
「「ではお先に失礼します!!」」
…逃げやがった。
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