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【DC】別れても好きな人【降谷(安室)※長編裏夢】

第6章 “透さん”


「○○、零になってます」
「あ」
「いいですよ、零で」
「ありがと」
「○○もお風呂に早く入ってきてください」

ゆっくりしているとまた脱がしますよ、なんて言ってくるから、からかわれていることに少しムキになって。

「寝ててもいいからね」
「待ってますよ」

零にキスをして浴室に入る。
触れ合うまで感じていた胸につっかえるような言葉にならない感情は、綺麗になくなっていた。



お風呂からあがると、 洗濯ものを回して リビングに戻る。
零はソファーに座りテレビを付けながら、寝ていた。

「零、ベッドで寝よ?」

肩を揺らして起こそうとすれば少しだけ目をあけて倒れこむように私に抱き着いてくるから、支えきれずにカーペットの上で体を寝かせてしまって。

「○○…」
「零、れい…重い」

いつもと違い眠っている相手のせいで体重がかかってくる。
心地良いとも言える体温に僅かばかりこのままでもいいかなと思う感情が浮かんで。
首元にかかる寝息が愛おしい。
時計はもう2時を過ぎていた。
抱きあげることもできないので、零の腕から抜け出して仕方なくベッドから掛け布団を持ってきて零にかける。
零の隣に横になり、抱き合うように眠りについた。



包丁がまな板を叩く心地よいリズム。温かい匂い。

「おはようございます、目が覚めましたか?」
「零…おはよ」
「“透”、です」
「ん~…」

駄々をこねるように首を振り、ベッドから立ち上がってキッチンに立つ零の背中に抱き着く。
まだ眠たい。
零はバスローブから洗濯された服に着替えていて。

「体大丈夫ですか?途中で起きてベッドに運びましたけど痛いところありませんか?」
「…とおる、きす」

眠気が強くて零に言われた“透”を繰り返しシてほしいことを単語で付け加える。

「子供みたいですね」

くすくす笑われながら唇が優しく触れる。

「透さん、…おはよ」
「おはよう」

優しい笑顔。
調理の手元を覗くと、我が家の材料からよく作れたなっていうくらいきれいなパンケーキと、サラダにスクランブルエッグと野菜スープ。

「魔法使いみたい」
「なんですかそれ」

手品ならできますよ、なんて手元から突然コインが現れて。

「すごい!」
「目が覚めたようでよかったです」

目覚まし代わりのマジックに目が覚めて。




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