【DC】別れても好きな人【降谷(安室)※長編裏夢】
第48章 ギスギスしたお茶会
「あれ?毛利先生じゃないですか」
「先輩、お疲れ様です。どうかされたんですか?」
どうして私たちが揃ってるのか。
少し不機嫌そうな先輩だったけど、顔にはそう書いていた。
毛利先輩と一緒にいたコナンくんは…零がどうしてここにいるのか、どうして私といるのかって……どこか、焦った顔をしていた。
「どこか具合でも悪いんですか?」
「ちょっと女房がな」
「奥さんと仲直りされたんですか?」
「…お前も安室くんと仲直りしたのか?」
売り言葉に買い言葉のような返しになってしまって笑ってしまった。
「安室さんとは何でもないですよ、友達のお見舞いに来たら、たまたま安室さんと会ってしまったんです」
「じゃあお前は?」
先輩が零に向けて言えば知り合いの見舞いに来たのに退院していたのだと笑って。
「コナン君は前にもここに来た事があるって看護師さんたちが言ってたけど…知ってるかな?楠田陸道って男…」
「誰?それ…知らないよ」
……コナンくん、それ。
失敗したね、と二人を眺める。
「すごいね、君は」
零はその失敗を見逃すことはなくて。
…大人気ないなぁ、と少しばかり思う。
お見舞いに来られたんだろう、お花やお菓子を手荷物二人組の女性に零は声をかける。
「あの〜、ちょっとすみません…楠田陸道っていう入院患者知りません?」
「さぁ…どんな方?年は?」
「その人の写真とかあるかしら?」
「あ!もういいです!」
零の代わりにありがとうございますと頭を下げて女性を見送って。
「毛利先生ならどうです?突然名前を出されて『知ってるか?』って聞かれたら…」
「そりゃーまぁ、今のオバサン達みたいに…」
「そう大抵の人は自分の記憶に絶対的自信がないんです…」
その絶対的自信の持ち主が言ってるよ、と小さく笑ってしまいそうで。
普通は相手の質問に答える前に、その人の情報を知りたがる。
…私だってそうだ。
「君はすごいよ!名前だけで知らない人だと確信できるんだから…」
ガキの言うこと間に受けるな、と言う先輩に零はコナンくんに目線を合わせてにっこり笑って。
相変わらず零はコナンくんに対して…試すようなことばかりする。
本当に気に入ってるんだなぁ、と思っていると後ろの子供がエレベーター前で、3、2、1と数を数えて
「ゼロー!!」
ビク、と反応してしまったのは…私だけじゃなかった。
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