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【DC】別れても好きな人【降谷(安室)※長編裏夢】

第42章 裏切り


「青ざめてますよ」
「…沖矢さん…沖矢さんっ…!」

しがみついた。

「ごめんなさい、貴方の声聞かれた…っ」
「…いえ、僕も電話中に声をかけてしまったので」

私の顔があまりにも悲愴だったからと。

「…泣かないでください」
「泣いてない」
「…泣いてください、の間違いですね」

頬を撫でられて…キスをした。
どうしたらいいのかわからない。

「…どうしますか」
「……帰り、ます…」
「そのほうがよさそうですね」

大丈夫です、と頭を撫でられて。

「…不安になったら連絡ください。前に渡したもの、持ってますね?」
「はい…」
「大丈夫ですよ」

また、キスをした。
もう一度、とせがんではキスをしてくれて。
不安に揺れる気持ちを、落ち着かせてくれた。


タクシーで自宅に帰った。
自宅前に、…今は会いたくない人が、いて。

「…良い度胸だな」
「どうして、ここに」
「事情聴取と証拠品押収」
「……勝手に中に入って待ってれば良かったじゃないですか」

マンションの入り口で。
そんな目立つところに、立たなくても。
…人目がつく、と言って部屋に入る。
……部屋にあるパソコンやタブレットやらの電子機器が机の上に並べられて言わずとも部屋に入ってたことがわかる。

「零は…どうして、…赤井秀一に抱かれたことを知ってるんですか」
「アレだけ喘いでて抱かれた?…愛し合ったの間違いだろ」
「…っ…どうして…」

どうしても、こうしてもない。

「知らない男の下でずぶ濡れになって」
「……まさか」

だから…
大丈夫って…
沖矢さんは…分かってた。

零に重なってしまったんじゃなくて…
零自身だった。

「零…だった、?」
「……捕まえる気はないのか」

赤井秀一を、と。

「お前の言葉が引っかかって…調べさせてもらった。お前は……信用を裏切るのは得意みたいだな」

男といたことも。

「…資料のことは油断した俺が悪かった。二度とお前を信用しない」

零の声が、冷たくて。

「赤井秀一を調べろと言ったはずだ。本当の報告を寄越せ」
「…………貴方には、報告できません」
「どういうつもりだ」

零が、…怖くて冷たい目で。


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