【DC】別れても好きな人【降谷(安室)※長編裏夢】
第4章 認めたい気持ち
零を部屋に招き入れるのは、緊張する。
「…本当に、嘘だったんだな」
「ごめんね」
料理上手で年齢もあまり変わらなく昔から大好きな人。
先輩に言った“彼氏”の話。
それは零のことだって、きっと本人は気づいていないのだろう。
「いや、安心した」
調べたらいなくなると脅したくせにな、なんて笑われて。
1LDKの間取り。
一人だと充分な広さだと思っていたけれど、零がいる空間では少し狭く見える。
ソファーも一人掛けのため、ベッドに腰をかけてと伝えれば苦笑いをされた。
「… 婚約者って聞いて、○○が幸せになるならって思う反面、○○を抱いて…後悔したから」
「後悔…」
そんな風に思わせてしまっていたのかと、悲しくなる。
ベッドにあがって、零の背中から抱き着いた。
「ごめん、零」
「…○○、話をしよう」
優しい声で。
目があえば、口づけて笑いあう。
「私も話がしたかった」
あまり時間がないのだろう、零が携帯を気にしていた。
「○○に婚約者がいない、彼氏は…?」
「いないよ」
だから、と私から言いたい。
過去の私が前に進むために。
「零とこれから、そういう関係になれたら嬉しいって…思ってます」
「○○、…」
ありがとう、と優しい腕が抱きしめてくる。
「詳しいことは言えない…ただ、今の自分に恋人を作るわけにはいかなくて」
「そんな気はしてた」
悲しくはなかった。
今日一日零のことを考えて、見えていた一つの答えでもあった。
「零は、多分…卒業式の時から、ここを目指していたんだよね」
「ああ」
「だったら、私は零を応援する」
私の言葉に返すよう、手を強く握ってきて。
「…だから“安室透”の恋人になってもらえませんか」
寝かされるようにベッドに押し倒されて。
唇を重ねて、目をあわせた。
「“安室透”として、○○の傍にいさせてくれませんか」
意味がわからないと、思った反面。
どこか腑に落ちて。
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