【DC】別れても好きな人【降谷(安室)※長編裏夢】
第33章 “道具”※裏
この国のため。
どこかで分かってた。
零が私と別れた理由。
ヒロくんと連絡を取り合っていた頃。
最初は毎日のように。
そしてそれが2・3日に一回、1週間に一度、そして気づけば…たまに突然。
今日は零がお前のこと話してたって。
いつか必ず、また会えるから。
そんなこと、言われてたら…
他の人を好きになる選択肢なんて無くて。
…そして、突然零のことを教えてくれる人がいなくなって。
みんなが、死んで。
伊達さんも、その日…彼女さんとって…私に言ってたのに。
「…○○?どうした?」
「あれ…」
「泣いてる」
怖いか?と…頬を触られて…
「…怖い…のかな………わかんない」
「じゃあ、何を考えてた?」
「……昔のこと」
「昔?」
「………別れてからのこと」
零がいなくなったときのこと。
「零…は別れてから、何してた?」
「…必死に仕事してましたよ」
「うん……安室透として、…零は……私の知らない零がいる」
「……ええ、そうですね」
「それは…私の恋人として隠したいこと?…それとも、バーボンだから?」
「………○○、何が気になってますか」
「…っ…零にばっかり見透かされて…私は…零のこと知らない」
「………どうしてもというなら、貴女がこの後の予定を全て僕にくれるなら話しますよ」
零と私の、最後の賭け事。
「うそつき」
「……それくらい、やめてほしいってことですよ」
そろそろ仕事の準備始めます、と零が離れようとして
「…零………抱いて」
このまま、夜を迎えたく無くて。
「どうして?」
「………零と、こんな状態で離れたくない」
「…今日なんて…来なければよかった」
「じゃあ………零を、ください…」
仕事行くまでの時間で良い…
零を感じて、零をください。
幸せで優しい夢は、みんなが死んだ日から…冷たい夢に変わる。
私が失いたくないもの、私が恐れてるもの、その全てに…あの頃の人たちがいて。
降谷零がいて。
「……○○、…夢の話をさせてください…」
いつか、貴女が僕の子供を産んで。
おかえりと言う日常の話。
「…零も…そんな夢を見るの?」
「…見てますよ、ずっと」
たった一人の男としての降谷零の夢。
「…叶えられるのは、…まだ、随分と先の話ですが」
キスをされて…手を繋ぐ。
切ない零の声に、目を瞑った。
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