【DC】別れても好きな人【降谷(安室)※長編裏夢】
第31章 傍に
「零…今日、早かったね」
「死ぬ気で終わらせましたから」
その言葉は、嬉しくて。
「あ、でも。今度風見にあったら○○が叱られてくださいね」
「…なにしたの」
「さぁ?」
意地悪な笑顔。
その瞬間だけ…透さんじゃなくて、零の。
「……今、零は…怒ってる?」
読めない雰囲気に、私は…零に訊ねた。
「怒らせるようなことをしたんですか?」
「…そんなの、零じゃないから分からない」
「例えば、今日も“友達”に抱かれたとか」
カマをかけられてる。
「…あれだけ乱暴に抱いていて、そんなこと言うんだ」
盗聴器を仕掛ける時間はなかったはず。
…寝てる時間を除けば。
あの時みたいに…部屋に盗聴器を仕掛けられた時みたいに。
無言。
車は私のマンションに停まって。
零が無言で車を降りて、外から扉を開けた。
「……今週末、終わったら僕の家に来ますか」
「…それは、今週末…私の予定が終わってからでも良いですか」
「可能ならその予定…キャンセルしていただきたいくらいですが。○○はそれを、シたいのでしょう?」
「…いい加減にしないと、怒るよ」
「僕を怒らせてるのは○○ですが」
差し伸べられる手を払って車から降りて。
「今日は帰って」
「嫌です」
「…貴方といたくない」
喧嘩なんてしたくない。言い合いもしたくない。
「……透としても、ダメですか」
零が、抱きしめてきて。
「ごめん、…でも…嫌なんだ」
お前が誰かに抱かれるのが、と。
「……零、としてなら…一緒にいたい」
「お前…本当に、安室が嫌いだな…」
クスクス笑われて。
「透さんのこと嫌いじゃない…!大好きだよ…っ」
傷つけたのかと思った。…なのに、零は嬉しそうに笑っていて。
「“俺”じゃないと、嫌か?」
降谷零じゃないと。
「…なんで急に機嫌直ってるのか、わかんない」
「直ってないけど…許せないし」
この話は部屋に帰ってから、と。
零は手を握ってきて。部屋に入ってキスをされて。
零が私を抱き上げて、舌を絡めながらベッドに向かう。
「…ス、るの?」
「シたくないかと言われると嘘になるけど…無理をさせたのは分かってる」
「…今日は、シたくない」
許されるだろうか。
嫌われないだろうか。
そんなことを思いながら顔を見たら、いつも通り優しく頷かれた。
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