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【DC】別れても好きな人【降谷(安室)※長編裏夢】

第29章 互いの気待ち※裏


零のキスは変わらず心地良い。
震える手で抱きついて…

「…零………私の話も、聞いてもらえませんか」

気づけば涙が流れていた。
泣きながら笑えば…零は少しだけ冷静になってくれて。

「あー……くそ…なんで…なんでだよ」

なんで○○がこんな目にって、零が…私の顔隣の床を叩いて…

「…わかった……話を、聞こう」

手が滲むほど、零が拳を握って…
私はその拳に…キスをした。



零が、優しい笑顔を向けてくれて。
優しいキスを、してくれて。

「……このままでも、良いか」

玄関で押し倒されて。
零の拳は震えていて。

「零………あのね、…初めては零だよ」

何を言ったら正しいのか。
何を言ったら零が笑ってくれるのか。
もう、分からなかったけど。
背中に腕を回して…耳元で可能な限り甘く囁いた。

「…痛くて、…苦しかった…痛くて、…零に…壊されるかって思った」

でも、それすら私は

「零に壊されるのは、嬉しかったよ」

私は零が私を見てくれるなら嬉しかった。

「………でも、そろそろほんとうに…覚えて…零」

覚えて欲しい。
それだけは、忘れないで欲しい。

「目覚めて零がいないなんて…嫌だって、ちゃんと覚えて」

何度言ったら伝わる?
何度言ったら…

「…零?」

震えていた。
気のせいかもしれないけど…
頬が濡れた気がして…
零の背中に回した手で、撫でた。
零が震えていて、ごめん、と…甘く甘く…耳元で伝えてくれて、
決して顔を見せてくれなくて。
それでも安心できた。

「零……私の初めては、…零だからね」

気持ちよくなんてなかった。
あの…初めての温泉旅行とは、全く違っていた。
それでも…
零だけに、初めてを渡したいと思うのはいつだって零で。

「………もっと、名前を呼んでくれ」
「零?」
「ちゃんと」
「零…れいっ…」

れい、と顔を見せてくれなくて。

「降谷零が…大好きだよ」

私にできること。
それは…今この、私の腕の中で…顔を頑なに見せようとしない零に、愛を伝えること、
肩口が、濡れた気がして

「まだ…愛しても良いのか」

震える声。
零のこんな声、聞いたことなくて。

「零……愛してる」

貴方に愛されたい。
私に残る気持ちは…それだけ。


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